イリュリクム(英語表記)Illyricum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イリュリクム」の意味・わかりやすい解説

イリュリクム
Illyricum

バルカン半島北西部,イリュリアの地に設置された古代ローマの属州。南はドリロン (現ドリン) 川,北はイストリア,東はサウウス (現サバ) 川で限られ,行政中心地はダルマチアのサロナエ (現スプリット) であった。元来この地は前 10世紀頃からイリュリア人定住ハルシュタット文化を築いていた。マケドニア後援でローマと抗争したが,前 168年その力に屈した。属州はローマ帝国がドナウ川に沿って発展するにつれ,ダルマチア,パンノニア2州に分割され,395年の帝国分裂で,ドリロン川以東は東ローマ (ビザンチン) 帝国領となった。3~5世紀には西ゴート人とフン族に侵入され,6世紀から侵入を始めたスラブ族によって,7世紀終りには,現在のアルバニアを除いてスラブ人の地となった。

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