チャンパサック王国(読み)チャンパサックおうこく

改訂新版 世界大百科事典 「チャンパサック王国」の意味・わかりやすい解説

チャンパサック王国 (チャンパサックおうこく)

ラオス南部を中心にした王国。1713-1947年。ラオス南部のチャンパサックChampassakは,その名のごとく,古代にはチャム族の国チャンパの領域であると推測されている。5世紀ころにはクメール族真臘がチャム族の住むチャンパサックを征服し,ここを本拠にメコン川の南のカンボジア平野へ進出していった。チャンパサックの古寺ワット・プー付近には,6~7世紀のクメール族の遺跡が多い。

 ラオ族ランサン王国ルアンプラバンビエンチャンの2王国に分裂(1707)する少し前の1690年,ビエンチャンで起こった王位奪事件で王妃は臣下の者3000人とともにメコン川を下り,南部に逃れた。その途中で誕生した王子ノーカサットは1713年,亡命先のチャンパサックの女王から王位の委譲を受けて即位した。これによりラオスは3王国に分裂した。チャンパサック王国は,1780年以降約100年間タイの属国となり,1893年にはフランス領となった。ユティタンマトーン2世の王子ユイがフランス領下のチャンパサック王国の王に任命され,チャオ・ラーチャダナイと称し,1946年まで王位にあった。1941年から4年間,王国の一部,メコン川西岸がタイ領となったが,第2次世界大戦後は再びフランス領となった。46年の王の死後,王子ブンウムが王位を継いだが,47年にチャンパサック王国はラオス王国に統合され,ブンウムは王位を廃し,王国総監と国会議長に就任した。
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