普及版 字通 の解説

2画
        
              [字訓] みだれる・わるい・だます
[字形] 象形
字の初形が知られず、字形によって説くことをえないが、字はおそらく
(ちよう)と同じく、草木の実の垂れる形であろうと思われる。
は〔説文〕七上に「艸木の實、垂るること
(てうてう)然たり。象形」とあり、
のような形、また栗の字の上部はその形に従う。その形の簡略にして、草の実の乱れ下るのを
というのであろう。〔方言、十三〕に「(銚の)升(縁)無き、之れを
斗(てうと)と謂ふ」とあり、〔郭璞注〕に「小鈴を謂ふなり」とあって、どらのような形の器であろう。杜甫の〔夏夜歌〕の詩に「
夕、
斗を鼓ち 喧聲
方に
なる」とあって、よほどやかましいものであったらしい。〔洞天清禄集〕に「大抵
斗は、世用ふる
の
る銚子(てうし)の如く、一人の
を炊くに宜し」とあり、本来行軍の際の炊事用のものである。「たぶらかす」意は
(ちゆう)・調などの仮借義であろう。[訓義]
1. 行軍の際の炊事用の鍋、飯盒。
2. どら、軍中で飯盒をどら代わりに使う。
3.

は、ぶらぶらゆれる、みだれる。4. わるがしこい、だます。
5. なべ。
6. 国語で、十二支のとら。
[語系]

tyu-tyu、
dyu-dyuは声が近く、
(ゆうゆう)は草木の実が垂れ動く形。吊(ちよう)(弔)ty
kも声義が近い字。悪賢くだます意は、おそらく
tjiu、
(調)dy
の仮借通用の義であろう。[熟語]
悪▶・
怪▶・
猾▶・
姦▶・
悍▶・
頑▶・
健▶・
棍▶・
唆▶・
詐▶・
訟▶・
騒▶・
▶・
斗▶・
徒▶・
難▶・
蛮▶・
婦▶・
風▶・
民▶・
劣▶[下接語]
撃
・調
・斗
・鳴
・夜
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

