飯盒(読み)ハンゴウ

デジタル大辞泉 「飯盒」の意味・読み・例文・類語

はん‐ごう〔‐ガフ〕【飯×盒】

底が深くてふたのある、携帯用炊飯具。主にアルミニウム製。軍隊用に作られたが、現在、登山キャンプなどに使用。「飯盒炊爨すいさん
[類語]羽釜

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精選版 日本国語大辞典 「飯盒」の意味・読み・例文・類語

はん‐ごう‥ガフ【飯盒】

  1. 〘 名詞 〙 合金製で底を深く作った炊飯兼用の弁当箱。軍隊用に作られたが、のち携行に便利なところから、登山やハイキングなど野外の炊飯に用いられるようになった。
    1. [初出の実例]「我兵は携行せる小鍋若くは飯盒を以て炊事掛より分配せられし米菜を煮て」(出典:風俗画報‐二九六号(1904)我兵炊爨の図)

めん‐こ【飯盒】

  1. 〘 名詞 〙 旧日本軍隊で、飯を盛る器をいう。
    1. [初出の実例]「仮棚の上から、メンコを降して来て、飴色の皮を着たやうに一皮上の厚くなった麦飯を、飯盒の蓋に入れた煮染で急がしく飲み込んだ」(出典:初年兵江木の死(1920)〈細田民樹〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「飯盒」の意味・わかりやすい解説

飯盒 (はんごう)

弁当箱兼用の炊飯具。パンなどの調理を要しない保存食品を用いず,米麦の飯を主食とした日本の陸軍が,戦闘行動中の兵士の個々に米麦を携行させ,随時に炊飯させる目的で開発したものである。背囊(はいのう)に着装して携行させたため,背面のへこんだ独特の形をしており,身,ふた,および,はめ込み式の掛子(かけご)からなり,身には棒などに掛けてつるせるようにつるがつけてある。2食分4合の米を炊けるようになっており,掛子はすりきりで米2合を計量することができ,ふたいっぱいに満たした水を加えると,2合の米を炊くのによい水かげんになっている。弁当箱として使用する場合は身に飯を詰め,掛子に副食物を入れた。アルミニウム,またはアルマイトで作られるが,比重が鉄の1/3というアルミニウムが発見されたことによって初めて成立した器具である。なお,同種の炊事具にコッヘルがある。これはなべ,やかん,皿,五徳などのセットをコンパクトに組み込んだもので,登山やキャンプに用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飯盒」の意味・わかりやすい解説

飯盒
はんごう

野外に携帯して利用できる炊飯器と弁当箱兼用のアルミ製の容器。明治以前は携帯食は干飯(ほしいい)や握り飯行李(こうり)に入れるものが多く用いられていた。飯盒が明治時代から軍隊で野戦用に用いられ、改良されて、のちこれがキャンプや登山などに広く用いられるようになった。基本的な形は、底が深く、断面片側がへこんだ楕円(だえん)形で吊手(つりて)があり、中に掛子(かけご)(中蓋(なかぶた))がある。容量は掛子二杯で約640グラム(四合)の米飯がちょうど炊ける程度で、野外活動での昼食と非常食の二食分程度として利用できる。たき火を利用した炊飯には適しているが、近年のように石油こんろガスこんろを利用する場合には、底面の広いコッヘルなどのほうがよい。形状は前述のもののほか、角型、持ち手のついたものなどがある。東南アジアなどで用いられているものにはかなり形状の異なるものもある。

[徳久球雄]

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百科事典マイペディア 「飯盒」の意味・わかりやすい解説

飯盒【はんごう】

かつて軍隊で使用されたアルミニウムまたはアルマイト製の炊飯具で,登山キャンプでの炊事にも利用。内蓋が付いていて,弁当箱の代りになる。普通は720ml(4合)炊(だ)き。→コッヘル

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食器・調理器具がわかる辞典 「飯盒」の解説

はんごう【飯盒】

野外で用いる、底の深い携帯用のつり手の付いた炊飯器具。アルミニウム製が多い。明治以降日本の軍隊で普及し、後に登山やキャンプなどに広く用いるようになった。元来はたき火での炊飯に適した、そら豆のように片側がへこんだ長円形であったが、近年はこんろなどでの炊飯に向く、底面の広い円筒形のものもある。外ぶたと中ぶたが付くが、これらを用いて米や水の計量ができ、食器としても使えるようになっている。

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