銚子(読み)サシナベ

  • ×銚子
  • さすなべ
  • ちょうし
  • ちょうし テウ‥
  • ちょうし〔テウ〕
  • 地名
  • 銚=子

デジタル大辞泉の解説

注ぎ口のある。さすなべ。
「―に湯沸かせ子ども櫟津(いちひつ)の檜橋(ひばし)より来む狐に浴むさむ」〈・三八二四〉
酒を入れて杯につぐ、長い柄のついた器。両方につぎ口のある諸口(もろくち)と、片方だけの片口とがある。神道の結婚式などで使う。
酒を入れて燗(かん)をするための瓶状の容器。徳利。「お銚子をつける」
千葉県北東端の市。利根川河口に位置し、太平洋に面する。醤油醸造漁業が盛ん。人口7.0万(2010)。
さしなべ」に同じ。

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百科事典マイペディアの解説

酒を入れに注ぐのに用いる器。柄をつけた長柄銚子,さげ手のある提子(ひさげ)があり,注ぎ口両方にある両口と一方のみの片口がある。多くは金属製であるが,陶器,漆器もある。平安時代から使用され,のちおもに儀式用となり,神前結婚式,屠蘇(とそ)器などに使用。現在では燗(かん)徳利も銚子と呼ぶようになっている。
→関連項目徳利

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世界大百科事典 第2版の解説

酒を入れて杯につぐための器。注口(つぎくち)が両側にあるのを両口(もろくち),片側にあるのを片口といい,いずれも長柄をつけてあった。酒をつぐ器の代表的なものだったため,別系統の徳利が普及するにともない,徳利をもこの名で呼ぶことが多くなった。〈銚〉はもともと〈鍋〉ので,《和名抄》は銚子を〈さしなべ〉〈さすなべ〉と読んでいる。〈さしなべ〉は,注口のある鍋に(つる)をつけたもので,湯をわかしたり酒をあたためるのに用いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酒器の一つで、酒を入れて杯(さかずき)に注(つ)ぐための器。平安時代に湯を沸かしたり、酒を温める酒器としても用いられた「さしなべ」の変化したもので、長い柄(え)がついている。銚子には、注ぎ口が一つの片口(かたくち)と、二つの両口(もろくち)がある。古くは、正式な場では片口を、略式には両口を利用していた。両口の由来については、酒宴の場で大ぜいの客が入り乱れて酒を飲み交わすときに、左右のどの客にも酒が注げるように、両側に口をつけたともいわれているが、真偽のほどはわからない。

 銚子の一種に、提げ手として弦(つる)をつけた提子(ひさげ)がある。これは、鉄瓶のような形をしたもので、江戸時代にできた燗鍋(かんなべ)は、提子の変化したものとみられている。銚子は、室町後期に現れた徳利が、酒器として常用されるようになると、正式の酒宴でのみ使用されるようになり、近世には、婚礼や、その他の儀式用にのみ使われるものとなった。なお現在、徳利を「ちょうし」とよぶことがあるのは、かつて、銚子が酒器の代名詞となるほど普及していたためと考えられる。

[河野友美]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 弦がついて注口(つぎくち)のある鍋。つるしかけて湯をわかしたり酒を暖めるのに用いるもの。後世の燗鍋(かんなべ)、銚子(ちょうし)の類。さすなべ。
※正倉院文書‐供養料雑物進上啓(762頃)「納物〈略〉佐志奈閇一口」
※万葉(8C後)一六・三八二四「刺名倍(さしなベ)に湯わかせ子どもいちひつの檜橋より来む狐に浴(あ)むさむ」
〘名〙 =さしなべ(銚子)新撰字鏡(898‐901頃)〕
※菅江真澄遊覧記(1784‐1809)迦須牟巨麻賀多「(サスナベ)のいといと大なるをもてつぎめぐれば、ゑひにゑひて」
[1] 〘名〙
① 酒を入れて杯につぐ長い柄のついた器。注ぎ口の両方にあるのを諸口(もろぐち)、一方にだけあるものを片口(かたくち)という。
※三代実録‐貞観六年(864)正月一四日「最後授銚子、賊即云、和尚若捨銚子、客中無此器、辛苦無極矣」
② 燗をした酒を入れて杯に注ぐための酒器。銅・鉄製で、注ぎ口と提げ弦が付いた蓋付きの鉄瓶形。また、①の代用として使った燗鍋。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 酒を入れ、燗をするための瓶状の容器。徳利(とくり)
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)五幕「丁度二銚子(テウシ)半。五合入りんした」
[2] (利根川の河口が銚子に似て口の部分が狭いところから呼ばれた) 千葉県東端の地名。利根川の河口に発達。江戸初期から漁業・しょうゆ醸造業が始まり、利根川水運の港として繁栄。現在もしょうゆの醸造が行なわれ、近海・遠洋漁業の根拠地として知られる。犬吠埼(いぬぼうざき)を含む海岸一帯は水郷筑波国定公園の一部。昭和八年(一九三三)市制。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

千葉県北東端,利根川河口にある都市。江戸時代以来の醬油産地
九十九里浜を近くに控えて江戸初期から (いわし) 漁業も盛ん。東廻り航路の中継地としても知られ,利根川水運の開発とともに,東北—銚子—関宿江戸川新川—江戸のコースも出現した。1933年市制施行

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世界大百科事典内の銚子の言及

【酒器】より


[日本の酒器]
 酒を飲むために用いられる容器の総称。口に運んで飲むためのやグラス,それらに酒を注ぐための銚子(ちようし)や徳利(とくり∥とつくり)が主要なものであるが,杯を置く杯台,杯を洗うための杯洗(はいせん∥さかずきあらい),酒を貯蔵または運搬するために用いられる甕(かめ)や樽をも含む。ここでは酒を注ぐ器を中心に記述するが,日本でも古く土器のほかに酒器として用いられたものに,ヒョウタンやミツナガシワ(カクレミノあるいはオオタニワタリとされる)のような植物の実や葉,あるいは貝殻のような自然物があった。…

【銚子】より

…酒をつぐ器の代表的なものだったため,別系統の徳利が普及するにともない,徳利をもこの名で呼ぶことが多くなった。〈銚〉はもともと〈鍋〉の意で,《和名抄》は銚子を〈さしなべ〉〈さすなべ〉と読んでいる。〈さしなべ〉は,注口のある鍋に弦(つる)をつけたもので,湯をわかしたり酒をあたためるのに用いた。…

【銚子】より

…酒をつぐ器の代表的なものだったため,別系統の徳利が普及するにともない,徳利をもこの名で呼ぶことが多くなった。〈銚〉はもともと〈鍋〉の意で,《和名抄》は銚子を〈さしなべ〉〈さすなべ〉と読んでいる。〈さしなべ〉は,注口のある鍋に弦(つる)をつけたもので,湯をわかしたり酒をあたためるのに用いた。…

【酒器】より


[日本の酒器]
 酒を飲むために用いられる容器の総称。口に運んで飲むためのやグラス,それらに酒を注ぐための銚子(ちようし)や徳利(とくり∥とつくり)が主要なものであるが,杯を置く杯台,杯を洗うための杯洗(はいせん∥さかずきあらい),酒を貯蔵または運搬するために用いられる甕(かめ)や樽をも含む。ここでは酒を注ぐ器を中心に記述するが,日本でも古く土器のほかに酒器として用いられたものに,ヒョウタンやミツナガシワ(カクレミノあるいはオオタニワタリとされる)のような植物の実や葉,あるいは貝殻のような自然物があった。…

※「銚子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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