ツチダンゴ(読み)つちだんご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツチダンゴ」の意味・わかりやすい解説

ツチダンゴ
つちだんご / 土団子

子嚢(しのう)菌類、セイヨウショウロ目ツチダンゴ科ツチダンゴ属Elaphomycesキノコ総称。地下生で、マツ科、ブナ科の木に菌根をつくる。ゆがんだ球体ないし楕円(だえん)体で径0.5~4センチメートル。外側はやや硬い二重の皮殻で包まれ、色は黄褐色系と黒色系がある。表面はつぶつぶに覆われるものと、ほとんど滑らかなものとがある。内部に無数の子嚢がつくられるが、成熟すると黒褐色の粉(胞子)の塊となる。胞子は球形、つぶ状、または細かい刺(とげ)で覆われる。地表には現れないが、ツチダンゴに寄生する冬虫夏草の菌、たとえばタンポタケCordyceps capitata Ces. et Not.、タンポタケモドキC. japonica Lloydなどを通して発見される。世界で約40種、日本で15種ほどが記録されている。

[今関六也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツチダンゴ」の意味・わかりやすい解説

ツチダンゴ(土団子)
ツチダンゴ
Elaphomyces

子嚢菌類核菌目ツチダンゴ科のキノコ。日本産のものだけでも 14種を数え,全世界では 20種に及ぶ。地下生でマツ,ツガ,アスナロ,トウヒなどの針葉樹やナラ,カンバ,ハシバミなどの広葉樹林下に生じる。1~3cmほどの球形または扁球形で断面を見ると外皮殻,皮層,内皮殻に囲まれ基本体に無数の子嚢ができている。この菌は冬虫夏草 (とうちゅうかそう) 菌属 (セミタケ属) の菌の宿主になることがあるので注目されている。分類学上の位置については問題がある。

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世界大百科事典(旧版)内のツチダンゴの言及

【冬虫夏草】より

…代表的なものにセミタケC.sobolifera B.et Br.(イラスト),サナギタケC.militaris Link.(鱗翅(りんし)類のサナギに寄生),ミミカキタケC.nutans Pat.(カメムシの成虫に寄生)(イラスト),ハチタケC.sphecocephala Sacc.,アワフキムシタケC.tricentri Yasuda(イラスト)などがある。 例外的に地下にできるキノコのツチダンゴElaphomycesに寄生するハナヤスリタケC.ophioglossoides Fr.(イラスト)やタンポタケC.capitata Cesati et Not.,タンポタケモドキC.japonica Lloydもある。いずれも寄主はほとんど地中にあり,棍棒状の菌の部分だけが地上に出ているので,採集は簡単でない。…

※「ツチダンゴ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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