改訂新版 世界大百科事典 「ティフィナグ文字」の意味・わかりやすい解説
ティフィナグ文字 (ティフィナグもじ)
alfabet Tifinagh[フランス]
サハラ砂漠に住むトゥアレグ族の用いる文字で,〈ラクダの時代〉(前200年以降)の岩面彩画・刻画にあらわれる。先行する古代サハラ文字alfabet Saharien Ancienから派生した。古代サハラ文字とのちがいは,90度の転回,180度の転回による文字の加重(重複),付属的な記号(鉛直線,点,文字の端の二次的な変形)の付加などである。ティフィナグ文字はいわゆる牛耕式で,上下左右どちらから書き始めてもよいが,アドラール・デジフォラスの岩面刻画には下から上に向かうものが多い。古代ティフィナグ文字は発音することはできるが,まだ解読されていない。しかし時代の新しいものは,一部のトゥアレグ族が現在も用いているティフィナグ文字から,ある程度推測できる。
執筆者:木村 重信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報