日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオフィリン製剤」の意味・わかりやすい解説
テオフィリン製剤
ておふぃりんせいざい
theophyllinate
テオフィリンを主成分とする医薬品で、強心利尿剤、気管支拡張剤として用いられる。徐放性製剤「テオドール錠」、テオフィリンにエチレンジアミンを結合させたアミノフィリン、テオフィリンにコリンを結合させたコリンテオフィリン、テオフィリンにノスカピンを配合した「テオナ」および「テオナP」がある。テオフィリンはカフェインおよびテオブロミンなどのキサンチン誘導体のなかでもっとも心筋刺激作用、利尿作用、気管支拡張作用が強い。気管支喘息(ぜんそく)、喘息性気管支炎、うっ血性心不全などに、アミノフィリンは内服、注射で、コリンテオフィリンは内服で用いられる。とくにアミノフィリンの注射は肺水腫(すいしゅ)、心臓喘息、チェーンストークス型呼吸に有効である。「テオドール錠」や「テオナ」および「テオナP」は気管支喘息、急性・慢性気管支炎の鎮咳(ちんがい)および気管閉塞(へいそく)症状の改善に内服で用いられる。アメリカではテオフィリンの徐放性製剤が気管支喘息の予防と治療に繁用されている。アミノフィリンの常用量は、経口投与の場合は1日300~400ミリグラムを3~4回、注射は1回10ミリリットル中250ミリグラム含有のものを生理食塩液または5%糖液で希釈して1日1~2回静脈注射で用いる。極量は経口、静脈注射とも1回0.5グラム、1日1.5グラム。
[幸保文治]