日本大百科全書(ニッポニカ) 「気管支拡張剤」の意味・わかりやすい解説
気管支拡張剤
きかんしかくちょうざい
気管支平滑筋のけいれんや気管支粘膜の浮腫(ふしゅ)によって狭窄(きょうさく)した気道を拡張し換気をするもので、気管支喘息(ぜんそく)、急性および慢性気管支炎などに鎮咳(ちんがい)剤(咳(せき)どめ)として用いられる。気管支平滑筋は交感神経と副交感神経の支配下にあり、交感神経興奮薬(アドレナリン作動薬)が気管支拡張に奏効する。コーヒー豆や茶の葉など多くの植物に含まれるアルカロイドの一種であるキサンチンも気管支平滑筋弛緩(しかん)作用を有する。おもな気管支拡張剤には次のようなものがある。
(1)アドレナリンβ(ベータ)受容体刺激剤 トリメトキノール、サルブタモール、ツロブテロール、プロクテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、クロルプレナリン、プロトキロール、エピネフリン、イソプロテレノール、エフェドリン、メチルエフェドリンなど。
(2)キサンチン誘導体 テオフィリン、アミノフィリン、カフェイン。気管支喘息の治療薬には気管支拡張剤のほか、抗炎症作用を利用したプロピオン酸ベクロメタゾンなど副腎(ふくじん)皮質ホルモンの製剤や抗アレルギー作用を有するトラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、フマル酸ケトチフェンなどが内服や吸入で用いられる。
[幸保文治]