化学辞典 第2版 「テロメル化」の解説
テロメル化
テロメルカ
telomerization
付加重合反応において,連鎖移動剤ABを比較的多量に用いることによって,分子量のきわめて小さいポリマーA-Xn-B(X:単量体,n = 1~12位)が生成するとき,この反応をテロメル化とよぶ.この場合,使用する連鎖移動剤をテロゲン,単量体をタキソゲンとよび,生成するポリマーをテロマーとよぶ.テロゲンとタキソゲンの種類,反応条件などにより,種々の構造と分子量をもったテロマーをつくることができ,工業的にも重要な物質の合成に利用できる反応である.現在応用されているおもな反応は,エテンをタキソゲンとするもので,テロゲンとしては,四塩化炭素,クロロホルム,塩化水素などのハロゲン化合物や水素,アルデヒド,ケトン,チオールなどが使用される.反応は加熱あるいはラジカル重合開始剤を用いる連鎖重合によることが多いが,光,放射線による重合も行っている.代表的なものとして四塩化炭素とエテンとの反応がある.
この反応では,奇数の炭素類をもつ二官能性のテロマーが得られる.反応機構としては,Cl3Cフリーラジカルによる開始反応と,成長ラジカルのCCl4からのClラジカルの引き抜きによる停止反応とで説明される.塩化水素を使用すると単官能性の偶数炭素のテロマーが得られ,またシラン類を用いると,たとえば
のような長鎖アルキルシランを合成することができる.テロマーは,高級アルコール,高級脂肪酸,合成繊維,合成樹脂,合成ゴム,可塑剤,医薬品製造の出発原料として重要である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報