高級脂肪酸(読み)コウキュウシボウサン(その他表記)higher fatty acid

デジタル大辞泉 「高級脂肪酸」の意味・読み・例文・類語

こうきゅう‐しぼうさん〔カウキフシバウサン〕【高級脂肪酸】

分子中の炭素原子数が多い脂肪酸。これとグリセリンとのエステル油脂

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精選版 日本国語大辞典 「高級脂肪酸」の意味・読み・例文・類語

こうきゅう‐しぼうさんカウキフシバウサン【高級脂肪酸】

  1. 〘 名詞 〙 炭素数の多い(通常、六以上)脂肪酸の総称。水素が飽和したものは固状で、不飽和なものは液状である。グリセリンとのエステル、すなわち油脂として高級一価アルコールとのエステル、蝋(ろう)などとして動植物界に広く存在。工業的には、油脂を加水分解し、減圧で分留して得られる。洗剤、塗料、合成樹脂原料などに用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「高級脂肪酸」の意味・わかりやすい解説

高級脂肪酸 (こうきゅうしぼうさん)
higher fatty acid

脂肪族カルボン酸RCOOHで通常炭素数6以上のものをいう。動植物体の油脂成分として,おもにそのグリセリンエステルの形で存在する。高級脂肪酸には飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸,また一塩基酸,二塩基酸などが知られているが,自然界に存在するものは,おもに直鎖状の飽和または不飽和の一塩基酸である。天然の脂肪酸は炭素数は偶数で,とくに炭素数18を中心としたものが多い。融点は一般に分子量が大きいほど高く,飽和脂肪酸の場合は炭素数10以上では常温固体エチレン結合1個をもつ場合はその二重結合位置,シスcis,トランスtransの構造によって異なる。オレイン酸(C18,シス-9)の融点は13.3℃,エライジン酸(C18,トランス-9)は44.5℃である。不飽和度が高いほど融点は低くなり,またそのグリセリド酸化されやすく,乾性油の性質を示す。高級脂肪酸はグリセリドとしての用途以外に,それ自身,セッケン合成洗剤,塗料,合成樹脂原料として,またその金属セッケン潤滑剤,塗料などのドライヤー,表面処理剤等に,工業原料としての広い用途をもっている。

 高級脂肪酸は牛脂,ヤシ油,魚油などの天然油脂を高圧水蒸気下,またはニッケル触媒などを用いて加水分解し,蒸留して分離・精製する。近年は需要の拡大によって工業的に合成されるようになり,天然には存在しない炭素数が奇数のものをはじめ,さまざまな高級脂肪酸および高級脂肪酸の特性をもった化合物が合成されている。工業的合成法としては,(1)石油からn-パラフィンを分離し,それ自体またはα-オレフィンとして酸化,加水,CO付加などにより飽和脂肪酸を合成する方法,(2)エチレンを直鎖状に低重合し,カルボキシル基を導入する方法などが行われている。

 また近年エイコサペンタエン酸(EPA)のような天然高度不飽和酸の生理活性が注目され,医薬分野などへの利用も広まっている。
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百科事典マイペディア 「高級脂肪酸」の意味・わかりやすい解説

高級脂肪酸【こうきゅうしぼうさん】

炭素数の多い脂肪酸,通常炭素数6以上のものをいう。パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸など,動植物界に油脂などの形で広く存在する。これら天然のものには炭素原子の数が偶数で,特に炭素数18を中心としたものが多い。セッケン,界面活性剤などの原料として重要。

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化学辞典 第2版 「高級脂肪酸」の解説

高級脂肪酸
コウキュウシボウサン
higher fatty acid

鎖状モノカルボン酸のなかで分子量の大きいもの.すなわち,炭素数が6以上のものをさす.飽和酸はほとんどが固体であるが,不飽和酸の多くは液体である.水に不溶,エタノール,エーテル,四塩化炭素,ベンゼンなどの有機溶媒に易溶.分枝酸は直鎖酸よりも溶解性がよい.アルコール類と脱水縮合して,油脂,ろうを構成する.工業的には,界面活性剤,有機化合物の合成原料として広く用いられる.[別用語参照]脂肪酸

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高級脂肪酸」の意味・わかりやすい解説

高級脂肪酸
こうきゅうしぼうさん
higher fatty acid

炭素原子数の大きい鎖式モノカルボン酸。高級アルコールとのエステルはろうとして,またグリセリンとのエステルは油脂として,動植物界に存在する。天然には炭素原子数 16,18のものが多い。油脂の加水分解によってつくられる。石鹸,界面活性剤の原料である。

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栄養・生化学辞典 「高級脂肪酸」の解説

高級脂肪酸

 →長鎖脂肪酸

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