日本大百科全書(ニッポニカ) 「デガシラバエ」の意味・わかりやすい解説
デガシラバエ
でがしらばえ / 出頭蠅
pyrgota flies
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群デガシラバエ科Pyrgotidaeの昆虫の総称。中形から大形で、頭部は大きいが複眼は小さく、単眼はない。触角は発達していて、第2節は長い。頬(きょう)部は幅広く、後頭部は膨出する。胸部は短い。はねは大きく、径分脈の後枝には小分枝を出すことが多い。脚(あし)はじょうぶにできている。腹部の形状は雌雄で著しく異なり、雌では腹部は短いが、産卵管の基部環節は長大で下方へ湾曲するなど種類によって特異である。成虫は曇天時や夕方から夜間に活動し、灯火に飛来することがある。夜間に、飛翔(ひしょう)中のコガネムシに乗って飛びながら産卵し、幼虫は寄生生活をするといわれる。
代表種フトハチモドキバエEupyrgota fuscaは、体長15~16ミリメートル、翅長15ミリメートル。頭部は褐色で触角の基部は著しく突出し、前額は幅が広く、上端近くに1対の暗色紋がある。胸部は褐色で、背面には小字形の黒色紋が明瞭(めいりょう)。胸部側面は前胸から後脚基節まで黒色で、さらにその下方に大きな黒色の円紋がある。はねは褐色。腹部は黒色で、第2節以下各節後縁は褐色。本州、四国、九州および台湾、中国に分布する。
[伊藤修四郎]