単眼(読み)タンガン

デジタル大辞泉 「単眼」の意味・読み・例文・類語

たん‐がん【単眼】

水晶体とその下方の小網膜とからなる簡単な目。節足動物多足類クモ類・昆虫類などにみられる。⇔複眼

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精選版 日本国語大辞典 「単眼」の意味・読み・例文・類語

たん‐がん【単眼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一つの目。また、片方の目。隻眼独眼
  3. 昆虫類クモ類、多足類などの節足動物にみられる簡単な構造レンズをそなえた小さな目。昆虫では一対の複眼の間に通常三個の微小な単眼があり、光の明暗を感じる働きをする。
    1. [初出の実例]「蜂は額の前面に瑩玉の如く見ゆる所の単眼三個ありて」(出典:動物小学(1881)〈松本駒次郎訳〉下)

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改訂新版 世界大百科事典 「単眼」の意味・わかりやすい解説

単眼 (たんがん)

昆虫の成虫にみられる複眼とは異なる簡単な構造の眼や,完全変態する昆虫の幼虫の眼を単眼ocellus(複数形はocelli)という。成虫単眼は背単眼dorsal ocellus,幼虫単眼側単眼lateral ocellusともいう。成虫単眼は前額部に2個または3個ある。一つの単眼は一つのレンズの下に多数の視細胞が集まり,これがすぐに数個の二次ニューロンとシナプス結合して収れんするので形態視や運動視の機能はなく,ただ明暗が識別できるだけである。単眼の機能は個体の活動性を明暗の程度により調節することである。例えば単眼を黒く塗りつぶしたハエはほとんど動かない。幼虫単眼は幼虫の視覚器で,成虫の複眼に相当すると考えられ,幼虫の形態視や色覚に関係する。しかし数個の個眼しかなく,各個眼には少数の視細胞しかないので,細かな識別ができるとは思われないが,詳細は不明である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「単眼」の意味・わかりやすい解説

単眼
たんがん

節足動物とくに昆虫にみられる小形で単純な形の目をいう。昆虫には大形のよく発達した複眼があり、この単眼をあわせもつものが多い。昆虫の成虫の単眼は背単眼とよばれ、三角形に配置された3個からなり、そのうち頂点にある1個は2個が融合したものである。単眼は外側から、レンズ状のキチン角膜、角膜形成層、数個の視細胞が感桿(かんかん)を囲んでできた小網膜からなる。明暗によく反応し、光の有無や明暗周期の検知器官として働いていると考えられている。幼虫の単眼は側単眼といわれ、成虫の複眼にあたる。昆虫以外では、クモ類、多足類やカブトガニにもみられ、甲殻類の幼生のノープリウス眼も単眼である。

[高橋純夫]


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百科事典マイペディア 「単眼」の意味・わかりやすい解説

単眼【たんがん】

節足動物にみられる小型で簡単な構造の眼。昆虫では頭部に3個の単眼が三角形に配列され,クモ類では頭胸部に8個,多足類やカブトガニにもある。また甲殻類幼生のノープリウス眼も単眼の一種。レンズ状のキチン角質とその下の光を感じる細胞層(網膜)からなり,一般に明暗に反応し,形を識別する能力は乏しいといわれる。昆虫,カブトガニ類などでは単眼のほかに複眼も備える。
→関連項目昆虫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単眼」の意味・わかりやすい解説

単眼
たんがん
simple eye; ocellus

節足動物のうちおもに昆虫類にみられる小型の眼。複眼とともに存在するかまたはこれに代るものとして存在する。多くは頭部に3個が三角形に位置している。構造は複眼の個眼に類似し,特に明暗に反応する器官とされている。昆虫類以外ではクモ類,多足類,カブトガニなどにもあり,クモ類では頭胸部背面に8個存在する。

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世界大百科事典(旧版)内の単眼の言及

【目∥眼】より

…目は,体の正中線またはその近くにある中央眼と体の両側方にある側眼に大別される。爬虫類や円口類の顱頂眼(ろちようがん)や昆虫成虫の背単眼が中央眼である。
【動物の目】

[無脊椎動物]
 無脊椎動物の目の構造や機能は,種類によって大きく異なっている。…

※「単眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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