デュエム-マルグレスの式(読み)デュエムマルグレスノシキ

化学辞典 第2版 の解説

デュエム-マルグレスの式
デュエムマルグレスノシキ
Duhem-Margules' equation

均一な2液混合物の液相の組成と,蒸気分圧との関係を表す式,

ここで,xAxB はA,B液体のモル分率pApB は蒸気の分圧.この式はギブズ-デュエムの式から成分蒸気の化学ポテンシャルと分圧の関係を用いて導かれる.蒸気を理想気体仮定している以外,混合液体の理想性の仮定はない.適当な仮定を用いて上式を積分すれば,

pApA° xAeαxB2pBpB° xBeαxA2

を得る.ここで,pA°,pB°は純液体の蒸気圧,αは両者に共通な定数.この式を用いて液相組成から蒸気相の各成分の分圧が計算できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

デュエム=マルグレスの式
デュエム=マルグレスのしき
Duhem-Margules' relation

2成分の混合溶液がその蒸気相と平衡状態にあるとき,溶液の組成と,蒸気相における成分の分圧の関係を与える式。成分A,Bの分圧をそれぞれ PAPB ,溶液のモル分率をそれぞれ 1-xBxB とするとき,次式で与えられる。
この式はギブズ=デュエムの関係から導かれ,厳密には定温定圧の条件でのみ成立するが,近似的には定温のみでも成立すると考えてよい。溶液を理論的に扱う場合,しばしば蒸気相の分圧が必要になるが,分圧を知るためには蒸気相の組成を知る必要がある。しかし本式を用いることにより蒸気相の全圧と溶液組成がわかれば分圧を計算することができる。

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