ドクシング(読み)どくしんぐ(英語表記)doxing//doxxing

知恵蔵 「ドクシング」の解説

ドクシング

主に特定の個人を攻撃するために、インターネット上に他人の写真や住所などの個人情報を無断で公開すること。ドクシング(doxing、doxxing)は、英語圏を中心に使われているインターネット上の俗語(スラング:slang)であり、日本では「晒し(さらし)」と呼ばれる行為に相当する。
ドクシングを行うものは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などから、ターゲットとする個人の断片的な情報を収集し、つなぎ合わせたり、不正ログインなどによって情報を盗み出して、不当にインターネット上に公開することもある。
2017年8月12日、米国バージニア州のシャーロッツビルで、白人至上主義グループと反対派が衝突し、死傷者が出る惨事が起こった。その後、白人至上主義者を非難するドクシングが行われ、現場写真などを基にドクシングされ、白人至上主義と特定された男性が勤め先を辞職する事態も発生した。
しかし、ドクシングの結果、事件に全く関与していない大学教授が間違って「特定」され、本人が事実無根と訴えたにもかかわらず、脅迫されたり、自宅住所をSNSに投稿され、罷免を要求されるなどといった災難にあっている。
このように、ドクシングは一方的でかつ、深刻な人権侵害として問題となっているが、アイデアやプロジェクトに共感した人から広く資金を集める「クラウドファンディング(Crowdfunding)」という形式で、ドクシングによって人物を特定したものに報奨金が支払われるといったサイトも登場しており、今後も収まる気配はなさそうだ。

(横田一輝 ICTディレクター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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