群衆(クラウド)から資金調達(ファンディング)するという意味の造語で、インターネットを通じて実現したいプロジェクトや事業などを公表し、賛同した人から資金を集める仕組み。レディーフォーなどの専門企業が調達を望むNPOなどの団体の適格性など審査、サイトで使途や金額、期間などを示して募集する。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
ある目的のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集めること。クラウド(crowd、群衆)とファンディング(funding、資金調達)をあわせた造語。略称CF。防災・災害復興、環境保護、文化遺産の保護・復旧、社会福祉の充実などの社会貢献のほか、科学・芸術・文化の振興、地域や特産品の振興、政治運動、訴訟、特定事業への投融資など幅広い目的に使われている。おもに、(1)見返りを求めない寄付型、(2)製品やサービスの提供を受ける購入型、(3)元本と利息を基にリターンを受け取る貸付(融資)型(ソーシャルレンディング)、(4)特定事業に投資し配当金を受ける投資型、の4種類がある。世界的な低金利のなか、利回りが高い貸付型が主流である。銀行や証券会社を介さず、提案者(事業主体)のよびかけで、共感した人から小口資金を機動的、効率的に低コストで集められる利点がある。一方で、アイデア流出や資金が集まらないリスクも伴う。ITと金融を融合したフィンテックの一種で、ネット上で広くお金を募るためシェアリング・エコノミーの一形態とみることもできる。CFはソーシャルファンディング(social funding)ともよばれ、政府や自治体が行う場合にはガバメントgovernmentクラウドファンディングという。
欧米で定着した寄付行為がネットを通じて進化した形態であり、2000年代のアメリカで始まった。アメリカ大統領のオバマが選挙資金調達に利用し、イギリスでは株式投資型CFが誕生。世界銀行は世界のCF市場が2025年には最大960億ドル(約11兆円)に増え、成長著しい中国だけで500億ドル(約5.5兆円)に達すると予測している。日本では、2011年(平成23)の東日本大震災で支援金集めの手法として注目された。また改正金融商品取引法や改正不動産特定共同事業法が施行され、回収不能の可能性があるベンチャー企業などへのリスクマネーの供給手法として株式投資型や小規模不動産への投資が始まった。熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)、京都アニメーション放火事件(2019年)でも活用された。CFの仲介サイトとして、アメリカにインディーゴーゴー(Indiegogo、2008年設立)、キックスターター(Kickstarter、2009年)、中国に京東金融(JDファイナンス、2011年)、日本にはレディーフォー(READYFOR、2011年)、キャンプファイヤー(CAMPFIRE、2011年)などがあり、いずれも高めの手数料をとる。ただソーシャルレンディングに関しては、事業主体の情報開示が不徹底で、預かり金の管理不十分、利益水増し、回収不能・遅延などで行政処分を受ける例も増えている。
[矢野 武 2020年1月21日]
(横田一輝 ICTディレクター/2015年)
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