ニコラウス(スイスの聖人)(読み)にこらうす(英語表記)Nikolaus (Niklaus) von Flüe

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ニコラウス(スイスの聖人)
にこらうす
Nikolaus (Niklaus) von Flüe
(1417―1487)

スイスの隠者、聖人、平和提言者。ウンターワルデン州フリューエ生まれの農夫。50歳までスイス全州会議代表など名望ある役職歴任。若いときから信仰心が厚く、神秘主義に親しんでいたが、1467年、世俗の生活に嫌悪を感じ、妻と10人の子を残して巡礼に出る。アルザスに向かったが、途中幻視を得て引き返し、私領のランフト渓谷に引きこもって19年間厳しい禁欲生活を送った。彼は「生ける聖人」といわれるようになり、多くの巡礼者が訪れて助言や慰めを求めた。そのなかで彼は強く平和を訴え、1473年のオーストリアとの和約や1481年のスタンスの全州会議に強い影響を及ぼし、スイスの内乱の危機を回避させた。「兄弟(ブルーダー)クラウス」Bruder Klausと敬称され、ベネチア、オーストリア、ミラノからの使節も彼を訪問している。1947年、聖人に列せられた。

[中井晶夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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