ニレンダ(英語表記)Tomo Nyirenda

改訂新版 世界大百科事典 「ニレンダ」の意味・わかりやすい解説

ニレンダ
Tomo Nyirenda
生没年:1890年代-1926

アフリカの宗教運動指導者。ニヤサランド(現,マラウィ)に生まれ,1920年代に北ローデシア(現,ザンビア)へ移り,鉱山労働者として働くうちにウォッチタワー運動と出会い,洗礼を受けて伝道生活に入ったが,25年初めころにはキタワラ運動の創始者となった。キタワラ運動は,ベルギー領コンゴ(現,コンゴ民主共和国)でのキンバンギズム運動(キンバング)と同様に千年王国思想を有し,白人権威を否定するとともに,きたるべき最後審判によって黒人は白人支配(したがって植民地主義の支配)の政治的・経済的苦境を脱することができるという教えを説き広め,多数信者を集めた。北ローデシア植民地政府はただちに彼を逮捕したが,まもなく釈放されると彼は自らムワナ・レサ(神の子)と称し,中部州を中心により多くの信者,支持者を得た。しかし政府の取締りが厳しくなったため,隣接するベルギー領コンゴへ移り,カタンガ(現,シャバ)州で布教活動を展開したが,危険を感じたベルギー政府はキタワラ運動を禁止し,ニレンダの身柄を北ローデシアへ送還した。彼はそこで裁判にかけられ,絞首刑に処せられた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ニレンダ」の解説

ニレンダ
Tomo Nyirenda

1890年代~1926

マラウィ(旧ニヤサランド)出身の宗教指導者。1920年代北ローデシア(現ザンビア)の鉱山で働き,ウォッチタワー運動に参加,25年キタワラ運動を創始した。千年王国思想,最後の審判による白人支配からの解放を説いて多数の信者を集め,みずからムワナ・レサ(神の子)と称した。弾圧を受けて,26年絞首刑。

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