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ネイチャー・ライティング ねいちゃーらいてぃんぐ Nature Writing

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知恵蔵2015の解説

ネイチャー・ライティング

人間中心主義的な文明観を批判し、自然と人間の二元論的対立の構造を排して、自然環境と人間の対話、交流、共生を目指すことを主要なモチーフとする小説、詩、ノンフィクションエッセイなど。いまだ広大な野生の自然を有するアメリカで、1970年前後より、ジャンルとして成立した。『ウォールデン』(1854年)の作者ヘンリー・デイヴィッド・ソローを始祖に、アン・リンドバーク『海からの贈り物』(1955年)、レイチェル・カーソン『沈黙の春』(1962年)など、広大無辺の大自然の中で生きる感覚、自然との交感、自然への畏怖の念をうたい、環境問題に警鐘を鳴らした散文が、次々に古典の地位を獲得していく。地球規模で進行する自然破壊という現実を前に、ネイチャー・ライティングは全世界的な注目を集めるに至った。日本もその例外ではないが、多神教的世界観の下、人間が天地自然にその一部として融合してきた確たる伝統を有する日本に、一神教的世界観に基づく自然対人間の二項対立の図式をそのまま適用できるかどうかは、疑問である。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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