日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハリヨ」の意味・わかりやすい解説
ハリヨ
はりよ / 針魚
naked threespine stickleback
[学] Gasterosteus aculeatus subsp.
硬骨魚綱トゲウオ目トゲウオ科に属する淡水魚。ハリウオともいう。滋賀県の北東部、岐阜県の南西部の平地の湧水域とその下流に分布する。元来、三重県に生息していた群は絶滅した。現在、兵庫県と三重県に生息している群は岐阜県からの移入である。本種に従前はGasterosteus microcephalusの学名が与えられていたが、イトヨの仲間Gasterosteus aculeatusの亜種とされ、まだ学名が与えられていない。背びれに3本(ときに5本)の棘(とげ)があるイトヨ属の仲間で、背びれ棘(きょく)の鰭膜(きまく)は棘の先端に達し、体側の骨板は胸びれの上方にだけある。水温が20℃以下の水域にすみ、流れがゆるやかで、底が泥か砂泥で水草が繁茂するところを好む。水生昆虫などを食べる。1年で3~4センチメートル、2年で5センチメートル以上になる。産卵の盛期は3~5月であるが、1年中行われる。環境省のレッド・リスト(2013)では絶滅危惧ⅠA類に指定されている。生息域の市町村において保全活動が行われている。
[落合 明・尼岡邦夫]