知恵蔵 「ハリー・ポッター」の解説
ハリー・ポッター
作者のJ.K.ローリングは1965年、英国ブライトンの近くで生まれる。文学好きの母親の影響で幼少の頃から作家を志すが、母親を失い、失意の中、英語教師としてポルトガルに渡り、結婚。一女をもうけたが離婚し、93年妹の住むエディンバラに戻る。乳飲み子を抱え生活保護を受けながら、第1作の『ハリー・ポッターと賢者の石』を英国ブルームズベリー社から出版する。第2作の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(98年7月刊行)は刊行後1カ月間、英国の大人向けハードカバーのベストセラー第1位に、第3作の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(99年7月刊行)は4週間にわたって英国で大人向けハードカバーのベストセラー1位となる。児童文学にもかかわらず、米国では第1作から3作までが多くの大人向けベストセラーリストのベスト3を独占するなど、大人にも人気がある。第4作の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は2000年7月に英国・米国・カナダ・オーストラリアの4カ国で同時刊行され、英国では初版で100万部、米国で370万部が発行された。日本でも静山社から松岡祐子の訳で1999年から全7巻シリーズで発売されている。
現在は200を超える国と地域で刊行、69の言語に翻訳され全世界で3億5000万部を売り上げる超ベストセラーになっている。作品は英国児童文学賞など数々の賞に輝き、原作者のJ.K.ローリングは01年に英国女王から大英勲章であるO.B.E勲章を授与され、08年にはエディンバラ賞などを受賞している。映画「ハリー・ポッターと賢者の石」が公開されたのは01年12月。ハリー・ポッター役をダニエル・ラドクリフ、ロン・ウィーズリー役をルパート・グリント、ハーマイオニー・グレンジャー役をエマ・ワトソンが演じ、シリーズの最後になる「ハリー・ポッターと死の秘宝」までこの3人が演じ続けた。
「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、PART1が10年11月に2D版で、PART2が11年7月に監督デイビッド・イェーツ、脚本スティーブ・クローブスで3D、2D、IMAX3Dで同時公開された。第1作では11歳だったハリーだが、最後となるこの作品では17歳になり、魔法使いとの戦いの最終章を迎える。
(金廻寿美子 ライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報