改訂新版 世界大百科事典 「ハンバー橋」の意味・わかりやすい解説
ハンバー橋 (ハンバーきょう)
Humber Bridge
イングランド北東部,ハル付近のハンバー川に架かるつり橋。3径間よりなり,中央支間長1410mは2008年現在世界4位である。この地点にトンネルか橋をという構想はすでに19世紀半ばからあったが,1920年ごろから計画が始められ,59年ハンバー橋建設法が成立,有料道路としてのつり橋を建設することとなった。しかし政治・財政上の事情から工事が着手されたのは72年で,着工後も労働争議,悪天候,基礎工事の難航,架設途中での事故などにより大幅に工期が延び,81年6月ようやく開通に至った。主塔(橋脚上155.5m)がこれだけの大つり橋には珍しい鉄筋コンクリート構造であること,桁が流線形断面鋼箱桁であること,そしてこの桁を主ケーブルから三角形状をなす斜めつり材でつっていることが特徴で,これらつり構造の特色は,1966年に完成して世界の橋梁(きようりよう)界の注目を浴びた,イギリス,ブリストル近くのセバーン川に架かる中央径間988mのセバーン橋Severn Bridgeの流れをくむものである。桁下の高さは30m,歩道を含む道路の有効幅員は28.5m,主ケーブルは片側当り径5mmのワイヤ約1万5000本よりなり,鋼材の重量はケーブル1万1000t,つり構造部1万6500tに及ぶ。
執筆者:伊藤 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報