改訂新版 世界大百科事典 「ヒラタアブ」の意味・わかりやすい解説
ヒラタアブ (平虻)
双翅目ショクガバエ(ハナアブ)科に属する昆虫のうち,体が平たく見えるものの一般名であるが,ほとんどがショクガバエ亜科に含まれる。ショクガバエは幼虫がアブラムシ(蚜)を捕食するのでこの名があるが,幼虫の捕食するアブラムシの種は定まっておらず,少ないもので4~5種,ふつう約10種くらいである。多い種で20~30種のアブラムシを捕食する。成虫は,アブラムシの発生している植物の葉や茎に産卵する。卵は一般に白色楕円形で,卵期は3~4日である。幼虫は無尾,やや扁平で前方がとがり,後端は截断状である。幼虫期間は15~20日,さなぎは囲蛹(いよう)で,呼吸器が幼虫殻の外に突出する。さなぎの期間は15~22日,年に数回発生する種もある。
執筆者:篠永 哲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報