ヒロシマナ(読み)ひろしまな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒロシマナ」の意味・わかりやすい解説

ヒロシマナ
ひろしまな / 広島菜
[学] Brassica rapa L. subvar. hiroshimana Kitam.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の二年草。非結球ハクサイの一品種で、広島地方特産。慶長(けいちょう)2年(1597)(一説に明治初年とも)、京都から持ち帰ったツケナから改良されたという。葉身は濃緑色で広く大きく、幅は約30センチメートル、長さは50センチメートルほど。葉の縁(へり)は切れ込みがない。葉身の中央脈は厚く、幅が著しく広いので漬物に好適で、白色青みを帯びている。葉には繊維が多いが、風味と香りがあり、正月ころの漬物として珍重され、広島地方名物の樽(たる)漬けとする。春先の古漬けも独特の風味で好まれる。栽培はハクサイに準じる。9月中旬から下旬播種(はしゅ)し、2回目の間引き後、うね間に切り藁(わら)を敷く「中入れ」という作業を行う。収穫は11月ころ。

[星川清親 2020年12月11日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「ヒロシマナ」の解説

ヒロシマナ

 [Brassica campestris (pekinensis group)].アブラナ科の一,二年草.ハクサイの結球しない品種.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヒロシマナの言及

【タイサイ(体菜)】より

…アブラナ科の一年草。葉の形がしゃくし(杓子)のような形をしているところから,シャクシナともいう。中国の原産で明治初年に日本に導入された。葉には毛がなく,濃緑色で,葉柄は白く多肉質で直立する。代表的な品種として葉や葉柄が長く,多肉で葉柄の純白な〈雪白タイサイ〉があり,また長崎には大型になる〈二貫目タイサイ〉がある。そのほか地方的な品種も多く,新潟の〈長岡菜〉や山形の〈雪菜〉もタイサイ類に含まれる。栽培は雪の多い北陸,東北,北海道などや中部以西の地域に多い。…

【漬菜】より

…根の肥大は一般に顕著ではないが,ややまるくまたは長く肥大するものがある。地方的な品種で代表的なものに,関東地方で多いコマツナ,サントウサイ,関西地方のミズナ類,タイサイ,広島付近のヒロシマナ(イラスト)(非結球ハクサイ類),長崎地方のナガサキハクサイ,長野県のノザワナ,東北,北海道地方のクキタチナなどのほか,各地に在来ナタネ系の漬菜がある。栽培は結球ハクサイなどに比べ一般に容易で,耐寒性も強いものがある。…

※「ヒロシマナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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