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ビデオテープレコーダー videotape recorder

デジタル大辞泉の解説

ビデオテープ‐レコーダー(videotape recorder)

テレビまたは専用カメラを通して送られてくる画像・音声を、磁気テープに記録したり、それを再生したりする装置ビデオデッキVTR

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

ビデオテープレコーダー

ビデオテープによる画像と音声の記録・再生装置。単にビデオ,VTR(ブイティーアール)とも。
→関連項目VTR

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ビデオテープレコーダー【video tape recorder】

VTRともいう。磁気テープを用いてテレビジョン信号(映像や音のプログラム)を記録する装置。放送用,一般業務用,家庭用などそれぞれの用途にあった機能,性能,価格のものが実用となっている。 磁気記録技術を用いているので,即時に記録,書替えができ,現像処理などが不要で記録直後の再生,繰返し再生,スロー再生・スチル再生・高速再生などの特殊効果,編集可能といった多くの特徴をもっており,放送局では番組制作に不可欠な装置となっている。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ビデオテープレコーダー【videotape recorder】

テレビジョンまたはテレビ-カメラからの映像・音声を、記録・再生する装置。ビデオ-デッキ。 VTR 。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ビデオテープレコーダー
びでおてーぷれこーだー
video tape recorder

ビデオ信号(映像と音の信号)を記録するテープレコーダー。略してVTRともいう。「ビデオデッキ」とも俗称される。また、テープがカセットに収納されたタイプのもの(のちに述べるVHSなど)をビデオカセットレコーダー(略してVCR)ということがある。[吉川昭吉郎]

開発の歴史と規格の競争

最初のビデオテープレコーダーは、アメリカのアンペックス社が1956年に開発・発売した。この世界最初のビデオテープレコーダーはオープンリール方式で、2インチ(5.1ミリメートル)幅の磁気テープを用い、電子回路は真空管式、大型で価格は5万ドルという甚だ高価なものであった。当初は白黒画像の記録であったが、のちにカラー画像の記録が可能になり、電子回路は半導体化された。おもに大きな放送局などで業務用に使われた。1980年代になると、オープンリール方式ながら、1インチ幅の磁気テープを使い、ヘリカルスキャン(後述)を採用したものが開発され、小型軽量化された。
 一方、扱いやすいカセット方式の開発も進められた。1969年(昭和44)に、ソニーが新しいビデオカセット方式を発表した。この方式をもとに内外各社によって統一規格が合意され、1971年にUマチックと名づけられたビデオカセットが商品化された。4分の3インチ幅のテープ、ヘリカルスキャンを採用して小型化を達成し、オープンリールにおけるテープ掛け換えの煩わしさを追放した。しかしまだ高価であったため、おもに業務用に使われた。
 数年遅れて民生用ビデオカセットの実用化が追随する。1975年にソニーがベータマックス(β(ベータ)マックス、Betamax)方式のビデオカセットを発売し、続いて1976年に日本ビクター(現、JVCケンウッド)がVHS方式のビデオカセットを発売した。ベータマックスとVHSは、2分の1インチ幅テープを使うこと、ヘリカルスキャン方式を採用することなど、基本的には相似であるが、カセットのサイズ、ローディング方式などが違い、互換性はない。
 なお、名称について触れると、ベータマックスの名称の由来は、アジマス記録(後述)によって、隣り合う記録トラックの間にガードバンドという未記録領域を設けずにテープの使用効率をあげた「ベタ記録」のベタと、最高を示唆するマックスの合成からきているといわれる。一方VHSは、最初は記録方式を表すVertical Helical Scan、のちにVideo Home Systemを詰めたものといわれる。[吉川昭吉郎]

ベータマックスとVHSそれぞれの特徴


ローディング
ローディングというのは、カセットを装置に挿入したとき、装置がテープをカセットから引き出して記録・再生のための回転ドラムに巻き付ける動作をいう。記録・再生のために欠かせない準備動作である。ベータマックスでは、先行して製品化したUマチックと同じUローディングという方式を採用したが、VHSは新開発のMローディングを採用した。録画・再生開始の時間はUローディングが早いが、製造面では構造が簡単なMローディングが有利であった。[吉川昭吉郎]
記録時間
発売時、ベータマックスは1時間、VHSは2時間であった。のちにそれぞれ長時間化が図られるが、発売時におけるベータマックスの1時間という記録時間が映画やテレビドラマの録画には不足という評価を受け、のちのベータ、VHS競争において不利な立場にたつ要因の一つとなった。[吉川昭吉郎]

原理と構造

ベータマックス、VHSに共通の原理と構造を述べる。映像の信号は音の信号に比べて広い周波数帯域をもっているため、これを磁気テープに記録するためには、記録・再生ヘッドと磁気テープ間の相対速度を高くしなければならない。初期のビデオテープレコーダーでは固定ヘッドが使われたが、装置が大きくなること、よい画品質を得にくいことなどの点で、実用的でない。そのため、のちにヘリカルスキャンとよばれる方式が使われるようになり、これが主流になった。
 ヘリカルスキャンというのは、磁気テープの走行方向に対して傾きをもって設けられた回転ドラム上に記録・再生ヘッドを取り付け、この回転ドラムを高速で回転させることにより、磁気テープ上に斜めに映像信号を記録する方式である。こうすると、磁気テープの走行速度をあげることなしに、磁気テープと記録・再生ヘッドの相対速度を高くすることができる。通常、回転ドラムには2個の記録兼再生ヘッドをドラムの中心に対して対称の位置に設け、磁気テープ上に映像トラックを交互に記録してゆく。この場合、1本の映像トラックが一つの画面(フレーム)に対応する。2個のヘッドは、磁気テープに対する記録の条件を変えるようにしてあり、隣接する記録トラックの間にガードバンドとよばれる未記録の帯を設けなくても、記録・再生される信号が混じり合うことがないようになっている。これはアジマス記録とよばれる方法で、磁気ヘッドのギャップを記録トラックの垂直方向に対してすこし傾け、この傾斜角度を二つの磁気ヘッドで記録トラックの垂直方向に対して互いに逆方向にすることにより、隣接記録トラック間の干渉をなくすものである。
 標準では、音声トラックは、普通のオーディオ用のテープレコーダーと同じように、固定ヘッドを用いてテープの走行方向に設けられる。また、映像トラックと音声トラック以外に、いろいろな補助的動作を行わせるためのコントロールトラックが設けられている。[吉川昭吉郎]

種類

使用する磁気テープによる分類では、次の四つがある。
(1)1インチ(約25.4ミリメートル)幅のもの。主として業務用。
(2)4分の3インチ幅のもの。Uマチックが代表的で、これも主として業務用に使われる。
(3)2分の1インチ幅のもの。VHS方式とベータマックス方式。
(4)小型のもの。VHS-Cと8ミリビデオがある。VHS-Cは、テープそのものは2分の1インチ幅でVHSと変わらないが、カセットを小型にしたものである。8ミリビデオは、テープ幅を8ミリメートルとして、小型化を図ったものである。VHS-Cと8ミリビデオの双方とも据え置き型(ビデオデッキ型)もあるが、ビデオカメラとしての用途が多い。[吉川昭吉郎]

高音質化と高画質化


ハイファイビデオ
開発当初のビデオカセットでは、音声の録音・再生はオーディオ用のテープレコーダーと同様に固定ヘッドによって行われていたが、オーディオ用に比べてテープの走行速度が遅いため、高い周波数までの録音が困難であった。これを改良する方法として、記録・再生ヘッドとテープの相対速度が高い映像トラックに、映像とともに音も記録する方式が考えられた。音は映像信号の余裕部分を利用して、周波数変調またはPCM(パルス符号変調)で記録される。この方法は固定ヘッド方式に比べてよい音質が得られるほか、ステレオ録音も容易である。ハイファイビデオの俗称が与えられ、のちの主流となった。[吉川昭吉郎]
S-VHS
映像帯域の上限を広げ、映像の解像度と画質をあげた方式である。目標どおりの高解像度・高画質を得るには、S-VHSビデオテープレコーダーと専用のS-VHSテープを用いる必要がある。S-VHSテープの寸法は従来のVHSテープのそれと同じであるため、VHSビデオテープレコーダーにS-VHSテープを使うことも、逆にS-VHSレコーダーにVHSテープを使うこともできるが、基本的にはS-VHSレコーダーとS-VHSテープの組み合わせでないときの画質は従来のVHS並みである。その後、普通のVHSテープを使ってS-VHS録画ができるS-VHS-ETという機能を搭載したビデオテープレコーダーも商品化されている。[吉川昭吉郎]
W-VHS
映像帯域をさらに広げて、ハイビジョン映像の高画質録画ができるようにした方式である。W-VHS専用のテープが必要である。W-VHSテープには普通のテレビ信号(NTSC)の録画もでき、この場合はS-VHS品質でハイビジョン信号のときの6倍の長時間録画ができる。[吉川昭吉郎]
D-VHS
デジタルビデオテープレコーダーである。映像と音をデジタルで記録・再生する。BSデジタル放送の番組などを録画できるほか、アナログの映像と音をデジタルに変換して録画することができる。テープは専用のD-VHSテープが必要である。ただし、同じデジタルであっても、デジタルビデオカメラとは映像の処理の仕方が違うため、デジタルビデオの映像をそのままコピーすることはできない。[吉川昭吉郎]

(しれつ)な競争">ベータマックスとVHSの熾烈(しれつ)な競争

ほとんど同時期に開発・商品化された民生用ビデオカセットが二つの方式に分かれたことに対し、消費者側から一本化してほしいという要望が出るのは当然であった。工業規格を所管する通商産業省(現、経済産業省)からも業界に一本化を促す要望が出されたが、ベータ陣営とVHS陣営は互いに譲らず、市場での競争に入った。両者は国際電気標準会議(IEC)でも規格化され、二つの標準が認められるという異例の事態を生じた。このころ、VHS陣営には松下電器産業(現、パナソニック)が参入しており、ソニー、松下の争いと評された。熾烈な争いが10年ほど続いたが、時間の経過とともにVHS陣営が優勢となり、1984年ごろにはVHSの勝利が決定的となった。ベータ方式のビデオカセットは2002年(平成14)に生産を終了した。
 ベータマックスは、性能的には優れた点が多く、支持する消費者も多かったが、VHSが競争に勝ち残ったのは、ベータシステム製造ほど高度の技術をもたなくても製造にかかわることができて製造ファミリーを増やすことが容易であったこと、録画時間が長くテレビドラマの録画等に受け入れられたこと、ビデオソフト(録画済みビデオテープ)はVHSで供給されることが多く、レンタルビデオ業界もVHSを支持したこと、などがあげられている。
 VHSが優れていたのは、ハイファイビデオ、S-VHS、W-VHS、D-VHSと絶えず進化を遂げるなかで、基本を変えることがなかったため、進化しても互換性が保ち続けられたことである。[吉川昭吉郎]

業務用デジタルビデオカセット

民生用デジタルビデオカセットは先に述べたD-VHSのほか、ビデオカメラ用のDVなどがあったが、出現時期がビデオテープレコーダーの末期近くという不幸もあって、広く普及することはなかった。
 これに対して、放送局や映像制作などで使用する業務用デジタルビデオカセットは需要が多く、1982年ごろから1995年ごろにかけて多くの方式・機材が開発された。代表的なものに、D1からD10まで一連の名称がつけられたビデオカセットがある。テープ幅は2分の1または4分の3インチ、磁性体は酸化鉄系またはメタル系、圧縮は非使用または使用など、用途に応じてさまざまな規格が採用された。
 その後、画像記録がP2などと称される半導体メモリーを用いる方式に移行して、現在業務ビデオカセットの出番は少なくなっている。[吉川昭吉郎]

(しゅうえん)">民生用ビデオカセットの終焉(しゅうえん)

1996年、世界に先駆けて日本でDVDとDVDプレーヤーが発売された。記録媒体としてのDVDはVHSテープと比べた場合、使用者にとっては小型・軽量で扱いやすく安定・高画質、製造業者にとってはコストが低廉ですむ、などの利点があり、急速に普及していく。放送電波がデジタル化されると、番組コンテンツのほとんどがハイビジョンになり、またコピー制限信号が付加されて、これに対応したDVDやBD(ブルーレイディスク)でなければ録画ができない仕組みになった。
 NTSC録画を基本とし、コピー制限に対応しにくいビデオテープレコーダーはもはや時代遅れのものとなり、ビデオテープレコーダーの製造はDVDレコーダーにVHSが併設されたものなど少数例を除き、単体としては2007年をもって終了した。ビデオテープレコーダーとビデオカセットの使命は終わりを告げたが、映像文化に残した貢献は長く記録にとどめられるべきものである。[吉川昭吉郎]

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