ファシリティマネジメント(読み)ふぁしりてぃまねじめんと(英語表記)facility management

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ファシリティマネジメント
ふぁしりてぃまねじめんと
facility management

社屋工場などの施設(ファシリティ)を効率的に管理する手法。略称FM。1979年にアメリカのオフィス家具メーカーであるハーマン・ミラー社Herman Millerが施設管理について研究する専門部署を社内に設置したのが最初とされている。かつては「施設は自前でつくる」ことがあたりまえであり、ほか選択肢はなかった。しかし、アメリカでは1950年代以降リース事業が発展し、コンサルティングの手法として、自前主義からの脱却による効率経営の実現にスポットライトがあたった。戦略的に重要なものについては自前で保有し、重要ではないものは利用料を支払う形に変動費化するのがファシリティマネジメントの基本である。一方で、重要なものも含めて、すべて外部委託化(アウトソーシング)することにより成功を収める企業も多い。ファシリティマネジメントにより組織文化を改革することもできる。たとえば自治体が管理する文化会館や図書館といった施設の運営を外部へ委託することで競争原理が働き、サービスの質が向上する。さらに、自治体職員が委託先企業との交渉協力などを行うことに伴い、民間企業のような柔軟な組織文化が育っていくことが期待されている。行政改革一環としてファシリティマネジメントの手法を取り入れている政府組織、自治体は多い。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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