ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フジツボ類」の意味・わかりやすい解説 フジツボ類フジツボるいbarnacle; acorn-shell 顎脚綱無柄目フジツボ亜目としてまとめられる種類の総称。すべて海産で,多くは岩礁に多数集まって固着生活をする。一般に直径 1~5cmで,石灰質の殻板に包まれる。基本的には 1枚ずつの峰板と嘴板,対をなした楯板と背板からなり,これに各種の側板が加わる。体は内部に倒立した形で納まるが,頭部と 6対の蔓脚をもつ胸部のみで,腹部を欠く。上部の殻口から蔓脚(まんきゃく)を出して水中のプランクトンを集めて食べる。雌雄同体であるが,むち状の交尾器によって近くの個体と交尾する。孵化した幼生はノープリウスで,5~6回の脱皮後,後期幼生のキプリスとなり,岩など適当な場所に定着して成体形に変態する。化石は古生代シルル紀にすでに出現し,現生種は 200種ほど。潮間帯の上部から低潮線まで種ごとに帯状分布を示す磯の代表生物である。また船底汚損生物として嫌われ,近年ではヨーロッパフジツボやアメリカフジツボ A. eburneus など船底に付着して世界的に分布を広げている種も知られている。日本各地の外洋性海岸ではイワフジツボやクロフジツボが,内湾の潮間帯や河口付近ではシロスジフジツボなどがみられる。(→顎脚類,甲殻類,節足動物) 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by