ヨーロッパフジツボ(その他表記)Amphibalanus improvisus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーロッパフジツボ」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパフジツボ
Amphibalanus improvisus

顎脚綱無柄目フジツボ科。殻は白色で,殻径,殻高とも 1cm内外。内湾に生息し,ときに汽水域にまで侵入する。ヨーロッパに広く分布しているが,第1次世界大戦中船底についてアメリカ大陸に運ばれて大西洋岸に,その後第2次世界大戦中には太平洋岸にも分布を広げた。日本では 1950年代に伊勢湾で発見され,その後瀬戸内海関東地方日本海へと広がっている。近縁アメリカフジツボ A. eburneus は殻径,殻高とも 2cm内外で,美しい白色。日本では 1966年に佐渡島で発見された。その後,山形県以南博多湾までの日本海沿岸に広く分布し,さらに広島湾のカキ養殖場でも確認されている。(→顎脚類甲殻類節足動物フジツボ類

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改訂新版 世界大百科事典 「ヨーロッパフジツボ」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパフジツボ
Balanus improvisus

蔓脚(まんきやく)亜綱フジツボ科の甲殻類。第2次世界大戦後,ヨーロッパから船底に付いて,初め南日本に運ばれ,以後各地にも見られるようになったフジツボの1種。殻の直径2cmくらい,殻口の周縁は明りょうに山形に切れ込み,生きているときは淡紫褐色の薄皮で覆われている。元来,ヨーロッパの大西洋沿岸,イギリス海峡,北海およびバルト海など,おもに汽水域に生息したが,現在では日本全土の汽水や浅海域にまで広まり,船底のほか,石杭やいかだなどにも着生しているのが見られる。これと同様に,戦後,アメリカの大西洋岸から船底に付き運ばれてきた近似種のアメリカフジツボB.eburneusは殻の直径3cmくらい,以来漸次日本各地に分布を広げ,これよりやや小型で,白い殻表に数本の暗紫色縦縞のあるタテジマフジツボB.amphitriteと混じって,港などの岸壁や,杭,いかだにも群生しているのが見られる。
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