日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フリードマン(Jerome I. Friedman)
ふりーどまん
Jerome I. Friedman
(1930― )
アメリカの実験物理学者。シカゴ生まれ。著名な素粒子物理学者E・フェルミにあこがれてシカゴ大学に進学し、1953年に修士号、1956年に博士号を取得。1957年からはスタンフォード線形加速器研究所(SLAC:Stanford Linear Accelerator Center)で電子散乱の研究を始め、そこでH・ケンドルやR・テーラーと知り合う。1960年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)に移籍。翌1961年にはケンドルもMITに移り、1963年からは、SLACのテーラーとともに共同研究を開始。1967年から1975年ころにかけてSLACの線形加速器を使って行った実験が、ノーベル賞の受賞につながった。
この実験では電子を光速に近い速度まで加速して重水素などの標的に衝突させ、そのとき電子が跳ね返る「非弾性散乱」とよばれる現象を測定。陽子や中性子が、さらに細かい粒子である「クォーク」で構成されていることを、初めて実験で確かめた。陽子や中性子がクォークというより小さな粒子でできているとする「クォーク模型」を実験で確認した業績で、ケンドル、テーラーと1990年のノーベル物理学賞を共同受賞した。
[馬場錬成]
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