出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
英語名linear acceleratorを略してライナック(linac),リニアック(lineac)ともいう.直線形加速管に大電力高周波電場をかけて荷電粒子を加速する装置.電子加速用と,陽子などのイオン加速用とで,加速原理と構造が異なる.軽い電子はわずかな加速で光速に達するので,電子ビームと同一位相速度の高周波を入力し,進行する高周波電場に電子が“波乗り”のように乗って,エネルギーを増大させる(進行波型).位相速度を光速に保つために,一定間隔に穴あき円板が加速管(導波管)に装備されている.陽子のように重い粒子の場合,加速管は,交互に接続された長さの異なる一連の円筒電極をもち,加速につれて長い電極にして高周波電場(定在波)の半周期と陽子(イオン)の電極ギャップ通過を同期する仕組みになっている(ヴィデレー型,アルバレ型).1924年,スウェーデンのG. Isingが提案し,1928年,R. Wideröeがナトリウムイオンの加速(25 kV,1 MHz)に成功したが,本格的なものは第二次世界大戦中のレーダー用などの大電力高周波発生装置,クライストロンの開発を待って実現された.1947年,L.W. Alvarez(カリフォルニア大学,1968年ノーベル物理学賞を受賞)らによって実現された40フィート陽子線形加速器が世界で最初のものである.その後,ロスアラモス国立研究所(アメリカ)LAMPF(Los Alamos Meson Physics Facility)の800 MeV 陽子線形加速器が1972年に完成.最近,超伝導加速空洞が利用されるようになり,1994年に運用を開始したバージニア州トーマス・ジェファソン国立加速器施設のCEBAF(Continuous Electron Beam Accelerating Facility)は,純ニオブ製の超伝導加速空洞をもつ連続ビーム5 GeV 電子線形加速器である.原子核や素粒子の基礎と応用の研究から,工業,医療にまで広く用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
リニアックともいう。荷電粒子を,高周波電場(数十~数千MHz)のかかった多段の電極の間を直線的に通して加速する加速器。原子核,素粒子の実験のほか放射線医療にも利用される。加速は一定周波数で行い,加速によりエネルギーが変化しても,粒子が高周波に対し一定の加速位相で電極を通過するようくふうされている。加速ビームはパルス状で,加速位相のまわりに集群(バンチ)を形成する。数十万eV以上でほとんど光速になる電子の場合は,進行波型という構造を用い,円形導波管に同心の円板電極を挿入,管内の電波の位相速度を粒子の速度に合わせて加速する。質量が大きい陽子などのイオンでは,低エネルギーの間は加速による速度変化が大きく,アルバレ型やビデレー型など特殊構造の加速管が使われる。電子の加速管では,通常1m当り約1000万eVの加速が可能である。スタンフォード線形加速器センター(アメリカ)の装置が最大で,全長約3km,電子を240億eVまで加速できる。
執筆者:木村 嘉孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…コッククロフト=ウォルトンの装置ともいう)が実用化され,1932年にはこの装置で加速した陽子を用い,初めての人工的に加速した粒子による原子核破壊の実験に成功した(コッククロフト=ウォルトンの実験と呼ばれる)。45年ごろまでにはこのほか,バン・デ・グラーフ型加速器(1931),サイクロトロン(1930),線形加速器(1931ころ),ベータトロン(1940),シンクロトロン(1945)などの各種の加速器が考案され,これらが今日の加速器の基礎となったが,著しい進歩をもたらしたのは第2次世界大戦後急速に発達した電波工学,エレクトロニクス,真空技術,材料工学などである。加速器のエネルギーは6~7年に約10倍の割合で大きくなっており,シンクロサイクロトロンによってπ中間子が実験室で人工的に創生(1948)されて以来,大加速器を用いての新しい素粒子の発見が相次いでいる。…
※「線形加速器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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