化学辞典 第2版 「プラセオ塩」の解説
プラセオ塩
プラセオエン
praseo salt
trans-ジクロロテトラアンミンコバルト(Ⅲ)塩[CoCl2(NH3)4]X(Xは一価陰イオン)の慣用名で,その緑色であることから名づけられた(対応するシス形は,その紫色にちなんでビオレオ塩とよばれる).現在ではほとんど使用されない.X- は Cl- が普通であるが,ほかのハロゲン化物イオンやNO2-,NO3-などの場合もある.一般に緑色の針状晶.水に可溶.アクア化しやすい.すなわち,水溶液は最初は緑色であるが,配位子の Cl- がH2Oで置換されて紫色になり,さらに一つ置換されて赤色を示す.ビオレオ塩は,一般に青紫色で水に可溶.プラセオ塩より不安定で,水溶液はきわめてアクア化しやすい.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報