ヘキサフルオロアルミン(Ⅳ)酸塩(読み)ヘキサフルオロアルミンサンエン

化学辞典 第2版 の解説

ヘキサフルオロアルミン(Ⅳ)酸塩
ヘキサフルオロアルミンサンエン
hexafluoroaluminate(Ⅳ)

M3[AlF6]型の塩.縮合型もある.天然に,氷晶石(cryolite, ice spar)Na3AlF6として,グリーンランドウラルなどに多く産出する.屈折率が水に近く(n ≒ 1.338),水中に置くと見えにくくなる.そのほか,鉱物として,K2Na[AlF6](elpasolite),Li3K3[AlF6]2(cryolithionite),およびCaNa[AlF6]・H2O(thomsenolite)がある.また,縮合型のものもあり,鉱石ではNa5[Al3F14](chiolite)などがあり,そのほかAlF6の二量体を含むM2[AlF5](2個のAlF6が頂点共有でつながったもの)なども得られている.Na3AlF6(209.94)は,工業的には,NaAlO2,NaHCO3,NaFを混合溶融するか,NaOH,Al2O3,HFとの反応などでつくる.実験室などでは,計算量のAlF3とNaFとの溶融,Al(OH)3,NaOH,HFとの反応などで得られる.Na3AlF6には2形があるが,常温安定なものは単斜晶系,560 ℃ 以上で安定なものは立方晶系で,いずれも正八面体型のAlF6を含む.Al-F約1.8 Å.なお,Li塩は斜方晶系,NH4塩は立方晶系,CaNa塩は単斜晶系である.純粋なら無色であるが,天然産の物には赤~黒色のものもある.水に難溶,濃硫酸などに可溶.熱に安定で,分解せずに溶融する.融点はNa塩は1009 ℃,K塩は1035 ℃.Na塩は,Al冶金で融剤に用いられる.また,AlF3の製造原料にもなる.[CAS 15096-52-3:Na3AlF6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android