化学辞典 第2版 「アルミニウム化合物」の解説
アルミニウム化合物
アルミニウムカゴウブツ
aluminium compound, aluminum compound
アルミニウムは,通常,酸化数3で無色の化合物をつくる.おもなものは酸化物,水酸化物(ともに両性),アルミン酸塩,アルミノケイ酸塩(造岩鉱物の主成分),硫酸塩,硝酸塩,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,有機アルミニウム化合物(たとえば,Al(CH3)3),水素化物(たとえば,LiAlH4,(AlH3)n)などで,多くは結晶水をもつ.硫酸塩はミョウバンなどの複塩をつくりやすい.強酸の塩はたいてい水に可溶であるが,弱酸の塩は酢酸塩以外は不溶性である.水に可溶の塩は強酸のものでも水溶液では強く加水分解しており,弱酸の塩ではその成分に完全に分解している.0.1 mol 水溶液の解離度は,AlCl3では2.0%,Al2S3では100% 分解して水溶液中には存在しない.アルミニウムイオンは水中では無色の [Al(H2O)6]3+ になっており,渋味と収れん作用をもつ.また,加水分解して酸性を示す.過剰のハロゲンや硫酸イオンなどと錯イオンをつくる.ハロゲン錯イオンは正四面体型 [AlX4]- であるが,[AlF6]3- やβ-ジケトン錯体は正八面体型である.アルミニウム化合物は,普通はボーキサイト→水和酸化物→硫酸塩を経てつくられる.なお,特別な条件のもとでは,酸化数1,2の化合物もできる.たとえば,Al2O,Al2S,AlF,AlCl,AlOなど.水道法水道水質基準 アルミニウムとして0.2 mg L-1 以下.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報