日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベルイストローム」の意味・わかりやすい解説
ベルイストローム
べるいすとろーむ
Sune Karl Bergström
(1916―2004)
スウェーデンの生化学者。ストックホルムに生まれる。同地のカロリンスカ研究所で学び、のちロンドン大学、コロンビア大学に留学、1942年カロリンスカ研究所に戻り、1944年生化学と医学の博士号を取得した。同研究所で助手を務め、1947年ルンド大学の生化学教授となった。1958年ふたたびカロリンスカ研究所に戻り、化学教授に就任、1963年医学部長、1969年所長に昇格、1981年に退職した。この間、1975年にノーベル財団総裁、1983年に王立科学アカデミー会長に就任した。
U・S・オイラーによってプロスタグランジンと命名された物質の研究に、1945年から着手した。これは生理活性物質の一種で、平滑筋を弛緩(しかん)させ、血圧を低下させる作用をもっている。1957年に2種類のプロスタグランジンの単離、結晶化に成功した。その後、門下生のB・I・サミュエルソンとともに、6種のプロスタグランジンを分離、それらが炭素数20個の不飽和脂肪酸の構造をもつことを示し、さらに生体内でアラキドン酸から合成されることを発見した。これらのプロスタグランジンに関する先駆的研究成果により、1982年のノーベル医学生理学賞をサミュエルソンとともに受賞した。また、プロスタグランジンの研究者として知られていたイギリスのJ・R・ベインも同時受賞した。
[編集部]
『Nobel Prize Winners(1987, H. W. Wilson, New York)』