日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラキドン酸」の意味・わかりやすい解説
アラキドン酸
あらきどんさん
不飽和脂肪酸の一種で、1分子内に4個の二重結合をもつ。化学式はCH3(CH2)4(CH=CHCH2)4(CH2)2COOHで常温で液体(融点-49.5℃)。脂質を構成する成分の一つとしていろいろな生物にみいだされる。とくに哺乳(ほにゅう)動物では肝臓ミクロソーム(ミクロゾーム)で、リノール酸、リノレン酸などの必須(ひっす)脂肪酸から合成される。細胞膜の脂質からホスホリパーゼ(フォスフォリパーゼ)の働きにより細胞質内に遊離し、重要な生理活性物質であるさまざまな種類のプロスタグランジンなどに変換される(これをアラキドン酸カスケードとよぶ)。
[若木高善]
『山本尚三編『アラキドン酸カスケードと薬』(1985・現代医療社)』▽『京都プロスタグランジン会議記録日本語版刊行委員会編『プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン研究の進歩』(1986・現代医療社)』▽『小林絢三・荒川哲男編著『胃粘膜とアラキドン酸カスケード』(1989・ライフ・サイエンス)』▽『三島好雄・山本尚三ほか編『講座・プロスタグランジン2 心・血管と血小板』(1989・東京化学同人)』▽『現代医療編集委員会編『プロスタグランジンの新しい話題』(1991・現代医療社)』▽『宇井理生・日高弘義編『バイオシグナル実験法』(1993・羊土社)』▽『熊谷朗編『薬用人参'95――臨床効果からモデル動物による検証まで』(1994・共立出版)』▽『室田誠逸編『循環器領域におけるプロスタグランジンの臨床』(1994・メディカルレビュー社)』▽『日和田邦男ほか編著『KEY WORD(1999~2000)高血圧』(1999・先端医学社)』▽『室田誠逸・山本尚三編『プロスタグランジン研究の新展開』(2001・東京化学同人)』▽『室田誠逸編『これだけは知っておきたいアラキドン酸カスケードQ&A』(2002・医薬ジャーナル社)』