ペドロ(2世)(読み)ぺどろ(英語表記)Pedro Ⅱ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペドロ(2世)」の意味・わかりやすい解説

ペドロ(2世)
ぺどろ
Pedro Ⅱ
(1825―1891)

ブラジルの第2代皇帝ポルトガルのブラガンサ王家の正統の王子としてリオ・デ・ジャネイロに生まれる。1831年、父のペドロ1世が失脚、退位してポルトガルに帰国したため、わずか5歳で帝位継承候補となる。10年間の摂政(せっしょう)時代を経て、40年15歳で国会の決議により成人となり、翌年戴冠(たいかん)式を挙行した。皇帝の調整権を積極的に行使して内政を安定させ、対英通商条約の失効(1844)、奴隷貿易の禁止(1850)などによる資本の解放を契機として経済的繁栄をもたらした。パラグアイ戦争(1862~70)には勝利したが、奴隷制廃止論の高まり、共和党の結成(1870)など政争が激化し、外遊中に実施された奴隷解放令によって農園主層の支持を失った。89年、共和主義を掲げる青年将校のクーデターにより退位し、ポルトガルへ亡命、パリで死去した。

[山田睦男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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