マスプラット(読み)ますぷらっと(英語表記)James Muspratt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスプラット」の意味・わかりやすい解説

マスプラット
ますぷらっと
James Muspratt
(1793―1886)

イギリス化学工業家。ダブリンの生まれ。スペイン独立戦争半島戦争)に参加したのち、1814年ダブリンに戻り、友人の化学者ケーンJohn R. Kane(1809―1890)の勧めで小さな化学工場を経営。1823年リバプールルブラン法によるソーダその他の無機科学薬品を多角的に製造する工場を設立し、1828年にはセント・ヘレンズに新工場を増設、以後ニュートンにも新設した。しかし工場から出る塩酸ガスに抗議する農村地主の訴訟に悩まされ、工場をウィドネスフリントに移した。

 イギリスの化学工業の基礎を築いた人物とされ、ドイツのリービヒとも親しく、3人の息子をギーセン大学に留学させ、科学技術者に育て上げた。

山崎俊雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「マスプラット」の意味・わかりやすい解説

マスプラット
James Muspratt
生没年:1793-1886

イギリスの化学工業家。ダブリンに生まれ,スペインの半島戦争で反乱軍側に従軍し1814年帰国,その後青酸カリシアン化カリウム)などの薬品製造に携わった。23年ルブラン法による炭酸ソーダ製造技術を導入,リバプールにソーダ工場を建て,28年アイルランド人ギャンブルJosaias C.Gambleとともにセント・ヘレンズに工場を増設,以後57年に業界を退くまでニュートン,ウィドネス,フリントなど次々に製造所を設け,イギリスのアルカリ工業基盤を築いた。
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