改訂新版 世界大百科事典 「マダラスズ」の意味・わかりやすい解説
マダラスズ
Pteronemobius fascipes
直翅目コオロギ科の昆虫。小型のコオロギ類の1種で,肢が白と黒のまだら模様をもつのでマダラスズの名がある。スズは小型の鳴くコオロギの意。日本全国にふつうで,アジア東部にも分布する。体長6~7mm。体色は背面が暗褐色,側面は黒く,後肢腿節は白く3個の大きい斑がある。頭頂は丸く盛り上がり,前頭頂は丸みをもった台形に突出する。雄の前翅は茶褐色で短く,前翅の発音器の第1斜脈はあまり強く湾曲しない。雌の前翅は雄よりも短く,翅脈は縦に走るのみで単純。後翅には長翅型と短翅型とがある。各肢はわりに太く,後肢の脛節(けいせつ)のとげは長い。雌の産卵管はなぎなた状。成虫は6~11月に現れ,草原や畑地,また芝地に多い。雄は日中リーリーリーまたはジージージーというように鳴く。年1~3回発生する。近似種に河原にすむカワラスズがあるが,前翅の根もとが白いことで区別される。
執筆者:山崎 柄根
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報