産卵管(読み)さんらんかん

日本大百科全書(ニッポニカ)「産卵管」の解説

産卵管
さんらんかん

産卵のために腹部末端に発達した管状突起で、おもに昆虫がもつ。バッタなど直翅(ちょくし)目の産卵管が典型的である。これは、背片、腹片、内片の三つの部分からなり、輸卵管開口から出た卵は、腹片と内片により形成される導卵溝を通って産み出される。産卵管の大きさや形は、昆虫の種類によってさまざまに異なり、ウマノオバチでは長さ数センチメートルに達し、セミでは木に穴をあけるため、腹片が鋸歯(きょし)状となっている。また、ハチでは産卵管が毒針になっている。一方、魚類でも、二枚貝中に産卵するタナゴなどで、輸卵管が伸びて産卵管となっている。

[町田武生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「産卵管」の解説

産卵管
さんらんかん
ovipositor

昆虫類などの腹端に発達した産卵のための管状突起。主要部は尾端の3対の突起 (陰具片) から成り,卵は輸卵管開口部から産卵管の内腔に送られ,受精嚢の開口部に達し受精される。さらに受精卵は管端にいたり,産み落される。産卵管の形状は産卵の習性によって異なる。土中に産卵するキリギリスや,木材中のカミキリムシ幼虫に産卵するオナガバチなどでは長く顕著に発達する。ミツバチスズメバチなどでは毒腺に連絡し,毒針を形成する。双翅類鞘翅類などでは腹端の2~3節が細長くなり,産卵管の役目を果している。

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精選版 日本国語大辞典「産卵管」の解説

さんらん‐かん ‥クヮン【産卵管】

〘名〙 おもに昆虫の雌が腹端にもつ産卵用の管状またはとげ状の突起。キリギリス、ハチ類に顕著にみられる。また、魚類ではタナゴなどにもみられる。
※日本昆虫学(1898)〈松村松年〉昆虫外部の構造「雌虫には特に産卵管を有するもの多し」

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