日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラッティ」の意味・わかりやすい解説
マラッティ
まらってぃ
Carlo Maratti
(1625―1713)
イタリア・バロック期の画家。マラッタMarattaともいう。マルケ地方のカメリーノに生まれ、アンドレア・サッキの工房で修業を始める。1650年ごろにはローマのサン・ジュゼッペ・デイ・ファレニャーミ聖堂内礼拝堂の祭壇画『羊飼いの礼拝』で名声を確立。理想としていたのはカラッチ一族の古典主義的様式であったが、ピエトロ・ダ・コルトーナやベルニーニからの影響も受け入れ、折衷的な画風に移行する。威厳と自立性を備えた人物を描き出そうとする彼の意図は、同時代の人々に大いに支持されていた。数多くの祭壇画と肖像画があり、ローマのパラッツォ・アルティエーリの天井画『寛大の勝利』(1673以降)やサンタ・マリア・ディ・モンテサント聖堂にある『聖フランチェスコと聖ジャコモを伴う聖母子』(1687)などが代表作である。
[小針由紀隆]