ミノウミウシ(読み)みのうみうし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミノウミウシ」の意味・わかりやすい解説

ミノウミウシ
みのうみうし / 蓑海牛
[学] Aeolidiella takanosimensis

軟体動物門腹足綱オオミノウミウシ科の動物。房総半島から九州までの潮間帯の岩礁にすむ。体長30ミリメートルに達し、細長い。触角は長く、後方朱色背面にはえら突起が多数生え、それぞれの先端は朱色。突起のすぐ下には環状模様があり、基部は暗褐色をしている。背面の地色は黄白色で美しい。背面のえら突起が蓑(みの)を着たようにみえるのでこの名がある。オオミノウミウシA. papillosaはさらに大形で、体長40ミリメートルを超え幅が広く、えら突起の数がミノウミウシよりはるかに多い。体は淡褐色で目だたない。北海道をはじめ、北部北太平洋、大西洋にも分布する。

[奥谷喬司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミノウミウシ」の意味・わかりやすい解説

ミノウミウシ
Aeolidiella indica

軟体動物門腹足綱オオミノウミウシ科。体長 3cm。体はナメクジ状で細長い。背上に紡錘形の突起 (背角〈はいかく〉) が左右に 23~28対あり,このさまを蓑に見立てたのが和名の由来である。突起は暗褐色であるが,先端は朱色,その下は白色。背面の心臓域はひょうたん形に朱色で囲まれる。触角は細長い。ミノウミウシの仲間は,イソギンチャク類を食べ,なかに含まれる刺胞を消化せずに背角にたくわえる。外敵に襲われた場合はこの刺胞を発射させて防御する。本州以南の日本各地とインド洋,西太平洋に広く分布し,潮間帯の岩礁にすむ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ミノウミウシ」の意味・わかりやすい解説

ミノウミウシ

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世界大百科事典(旧版)内のミノウミウシの言及

【ウミウシ(海牛)】より

…これを角に見立ててウミウシと名付けられた。 体表はアオウミウシHyselodoris festiva(イラスト)のように青色で滑らかな種もあるが,またミノウミウシAeolidiella takanosimensis(イラスト)のようにみのを着たように背上に多くの突起が並んだ種もあり,ムカデメリベMelibe vexillifera(イラスト)は背上の突起がとくに大きく,ちぎれやすいが再生もする。背上後方の肛門のまわりを羽状のえらが取り囲む種もある。…

※「ミノウミウシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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