改訂新版 世界大百科事典 「ミヤマオウム」の意味・わかりやすい解説
ミヤマオウム (深山鸚鵡)
kea
Nestor notabilis
オウム目オウム科の鳥。ケアともいう。全長50cm,全体が緑褐色をした大型のオウムで,上くちばしが長くのびていて鋭い。ニュージーランドの南島にのみ分布し,高山帯の低木の生えた岩地に群れですむ。ほとんど地上で生活し,花みつ,漿果(しようか),木の芽,球根などのほかに,昆虫類も食べる。繁殖期には,岩の穴や裂け目に1腹4個の卵を産む。ミヤマオウムは唯一の肉食をするオウムとしても有名である。ヒツジの屠殺場近くで捨てられたくず肉などを食べるが,ときには,生きたヒツジの背中に止まり,鋭いくちばしでつついて,ヒツジの脂肪を食べることもある。
ニュージーランドの南島と北島に分布するカカN.meridionalis(英名kaka)は,ミヤマオウムに近縁で,羽色もよく似ているが,腹部と下尾筒が赤い。森林に群れですみ,漿果や花みつのほかに,くちばしで朽木を掘り,甲虫類の幼虫をとって食べる。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報