ミュルダール(Alva Myrdal)(読み)みゅるだーる(英語表記)Alva Myrdal

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミュルダール(Alva Myrdal)
みゅるだーる
Alva Myrdal
(1902―1986)

スウェーデンの社会学者。ウプサラに生まれる。ストックホルム大学で社会学、教育学などを学び、1924年に卒業、同年経済学者のグンナル・ミュルダールと結婚した。グンナルは1974年にノーベル経済学賞を受賞している。1934年にはウプサラ大学で修士号を取得、また同年に出版した夫妻共著『人口問題の危機』は国際的な評価を得た。社会福祉、女性の地位向上のために活躍、さらに1943年には社会民主党のメンバーとして、政府の戦後の国際援助および再建委員会の委員に任命された。

 第二次世界大戦後の1949年に、国連社会問題局の局長に就任、1950年から1955年まで国連教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))の社会科学部長を務めた。1962年にジュネーブ軍縮委員会(現、軍縮会議)のスウェーデン代表に選ばれ、非同盟諸国のリーダーとして、米ソ二大勢力の圧力に抗して具体的軍縮案の実現に努力した。以後、1973年に引退するまで長年にわたって軍縮運動に貢献、1982年にはメキシコガルシア・ロブレスとともにノーベル平和賞を受賞した。夫妻が別々の分野でノーベル賞を与えられたのは初のことである。そのほか、アルバート・アインシュタイン平和賞、ノルウェー国民平和賞などを受賞している。

[編集部]

『アルヴァ・ミュルダール著、豊田利幸・高榎尭訳『正気への道――軍備競争逆転の戦略』1・2(1978・岩波書店)』『A・ミュルダール、V・クライン著、大和チドリ・桑原洋子訳『女性の二つの役割――家庭と仕事』(1985・ミネルヴァ書房)』

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