ミュルダール(読み)みゅるだーる(英語表記)Karl Gunnar Myrdal

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ミュルダール(Karl Gunnar Myrdal)
みゅるだーる
Karl Gunnar Myrdal
(1898―1987)

スウェーデンの経済学者。ダーラナに生まれる。ストックホルム大学でK・ウィクセル、G・カッセルらの指導を受け、1927年に博士号を取得し、同大学の私講師となった。29~30年にアメリカに留学。30年には『経済学説と政治的要素』と題し、経済学的事実認識への価値判断の混入を戒めた経済学史を公刊(しかし、53年の英訳版の序文においては、実証主義から脱皮し、価値前提なしに事実認識は不可能であると説いた)。ついで『貨幣的均衡論』(1931)を公刊。貨幣的なシステムにおける予想の重要性に着目、変数の事前・事後の値の区別を導入し、ストックホルム学派(北欧学派)経済学に貢献した。31~32年ジュネーブの国際問題大学院の教授、33年ストックホルム大学教授、34~36年上院議員。38~42年カーネギー財団の委嘱によりアメリカにおいて黒人問題の調査研究に従事、『アメリカのジレンマ』(1944)を書き、社会学的要因にまで視野を広げて経済問題を考える素地をつくった。帰国して42~46年上院議員、経済計画委員会議長、44~47年商務長官。47~57年国連ヨーロッパ経済委員会委員長。その後、開発途上国問題に関心を向け、『経済理論と低開発地域』(1957)、『アジアのドラマ』(1968)などを公刊し、経済的選択すら選択者を取り巻く社会によって条件づけられるという見解をとり、制度学派的色彩を強めた。61~65年ストックホルム大学国際経済研究所を主宰。74年にノーベル経済学賞を受賞した。なお、彼の妻アルバ・ミュルダール(社会学者)も82年にノーベル平和賞を受賞している。[佐藤隆三]
『山田雄三・佐藤隆三訳『経済学説と政治的要素』(1967・春秋社) ▽傍島省三訳『貨幣的均衡論』(1943・実業之日本社) ▽小原敬士訳『経済理論と低開発地域』(1959・東洋経済新報社) ▽板垣与一監訳『アジアのドラマ』全2冊(1974・東洋経済新報社、S・S・キングによる縮約版の邦訳)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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