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ムワッシャハ muwashshaḥ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムワッシャハ
muwashshaḥ

11世紀頃からスペインの南部で起ったアラビア語の詩の一ジャンル。本来が歌謡のための恋歌で,それまでの伝統的アラビア語詩とは構成を異にしている。これはアンダルシア地方に昔から行われていたロマンス語の歌謡の影響を受けたためであろうという説が有力である。ムワッシャハとは「ウィシャーハ wishāḥ (女性が一方の肩から斜めに胸に掛け,他の側の腰まで垂下げる飾り帯のことで,真珠やルビーなどをちりばめてあった) をまとった者」という意味であるという。この詩形は,カシーダのように前後2句を1バイトとして終りまでバイトを重ねていくのではなく,バイトの部分と,単句だけの部分とを交互に重ね,押韻 (ライム) なども数種を混用する。 11世紀の小王朝併立時代 (レイエス・デ・タイファス) にアルメリアのウバーダト・アル・カッザーズが現れてムワッシャハ体の一代の巨匠とうたわれ,12世紀には各地に名詩人が出た。やがて,この詩体は北アフリカを経て東方イスラム世界にも広まった。

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百科事典マイペディアの解説

ムワッシャハ

アラブの声楽の形式。リフレインをもつ有節歌曲の一種。9世紀にコルドバ近郊のカブラで発生し,11世紀にはイスラム教徒支配下のスペインで大流行した。その後アラブ世界全域に広がった。

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世界大百科事典内のムワッシャハの言及

【アラブ文学】より

…イブン・ハーニーIbn Hānī(934ころ‐1071)はブフトリーを,イブン・ダッラージュIbn Darrāj(958‐1030)はムタナッビーをそれぞれ手本にした。その中にあってイブン・クズマーンIbn Quzmān(?‐1160)が完成したムワッシャハmuwashshaḥaと呼ばれる副韻と脚韻を連節形式にまとめた詩形式や,口語をとり入れたザジャルzajal詩は,プロバンス語を通じヨーロッパ文学に影響を与えた点で注目に値する。散文の方では神学者兼政治家イブン・ハズムが恋愛論に関する《鳩の頸飾り》という傑作を残している。…

※「ムワッシャハ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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