アルメリア(読み)あるめりあ(英語表記)Almería

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア(イソマツ科)
あるめりあ
shrift
lady's cushion
[学] Armeria

イソマツ科(APG分類:イソマツ科)の多年草。同属には約50種がある。花壇鉢植え用として、おもにハマカンザシA. maritima (Mill.) Willd.(A. vulgaris Willd.)とオオハマカンザシA. alliacea (Cav.) Hoffm. et Link(A. plantaginea Willd.)が栽培される。ハマカンザシは中部ヨーロッパ北アメリカチリ千島などに分布し、主としてヨーロッパ産のものが品種改良されている。葉は線状または線状披針(ひしん)形で、叢(そう)状に群生し、芝状になる。花は3~5月に花茎を10~15センチメートル伸ばして、小さい花が集まって径2.5センチメートルの頭状花となる。花色は桃赤色、藤(ふじ)色、白などがある。

 オオハマカンザシは南・中部ヨーロッパの原産で、花茎は30センチメートル以上にも伸び、実生(みしょう)によって変種を楽しむこともできる。マツバナデシコA. caespitosa Boiss.は、スペイン、ポルトガルの高山に自生し、形はハマカンザシに似るが、矮性(わいせい)で、花茎は5~6センチメートルでヒメカンザシともいわれる。いずれも耐冬性があり、性質もきわめて強い。土質は選ばないが、酸性土壌では育ちが悪いので、消石灰を1平方メートル当り100グラムをまいて植えるとよい。排水がよく日当りのよい所に、9月下旬から10月上旬に株分けをする。

[猪股正夫 2021年2月17日]

語源

かんざし玉のようにみえるのでハマカンザシの名がある。英名のシュリフトやレディス・クッションの名は、よく繁茂する姿からつけられたが、レディス・クッションのレディは聖母マリアをさすとの説もある。またシー・ピンク別名もあるが、海辺で育ちピンクの花を咲かせることにちなんでいる。

[湯浅浩史 2021年2月17日]


アルメリア(スペイン)
あるめりあ
Almería

スペイン南部、アンダルシア地方アルメリア県の県都。人口16万6328(2001)。地中海に臨むアルメリア湾岸に位置する近代的な港湾都市で、鉄鉱石、ブドウ、柑橘(かんきつ)類、エスパルトグラス(アフリカハネガヤ)などが輸出される。イワシ、貝などの漁業や若干の軽工業もあり、周辺では灌漑(かんがい)農業が行われる。年降水量が300ミリメートル以下、12月の最低気温が7℃と、温暖な気候に恵まれ、避寒地としても有名である。フェニキア人によって築かれ、ムーア人によりアル・マリヤトAl-Mariyatと名づけられ、1035~1091年にはムーア人の王国の首都となった。旧市街は狭く曲がりくねった街路などムーア人時代の特徴が残る古い町並みで、アルザーバ城塞(じょうさい)(8世紀)やサンクリストバル城跡、高い塔をもつサンティアゴ教会(16世紀)などがある。

[田辺 裕・滝沢由美子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルメリア」の意味・わかりやすい解説

アルメリア
Almería

スペイン南部,アンダルシア州,アルメリア県の県都。グラナダの東南東約 100kmに位置する。けわしい山地を背にしてアルメリア湾に面する港湾都市。港はローマ時代から栄え,現在はオレンジ,ブドウを積出す8~12月が特ににぎわう。産業は化学工業,金属加工,缶詰工業など。ムーア人が建設したサンクリストバルの城址が町を見おろす高台にあり,ほかにゴシック様式の大聖堂 (1489) ,博物館,歴史研究所などがある。コスタデルソル (太陽海岸) に面し,一年中遊泳できるほど温暖で,避寒地として知られるが,1960年以降は映画のロケ地としてよく使われ,ホテルや空港施設も整備された。人口 15万 3288 (1991推計) 。

アルメリア
Armeria vulgaris(Statice armeria); thrift

イソマツ科の多年草で,北アメリカ,ヨーロッパ,千島など北半球の寒地に自生する。高さ約 15cmで,細い葉を根生し,3~4月頃,多数の花茎を中心から出す。花序は小球状で,ピンク,白,紫紅色などの乾いた膜質の小花を多数集めてつける。寒さに強く,花壇の縁や鉢植にして観賞する。日本ではハマカンザシと呼ばれ,マツバカンザシの別名もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android