リフレイン(読み)りふれいん(英語表記)refrain 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リフレイン」の意味・わかりやすい解説

リフレイン
りふれいん
refrain 英語
refrain フランス語
Kehrreim ドイツ語
ritornello イタリア語
ripresa イタリア語

音楽用語。「繰り返し句」「反復句」などと訳される。現在ではフランス語のまま「ルフラン」とよばれることも多い。

 有節形式の詩句を歌詞にもつ声楽曲において、一定の間隔をあけて規則的に繰り返される同一の詩行をさす。この詩行は通常一行から二行で、この部分では歌詞だけでなく音楽もまったく同じとなっている。これに対し、変化する部分はスタンザstanza(英語)、バースverse(英語)、クープレcouplet(フランス語)などとよばれ、たいていの場合、その各部分の後ろにリフレインが置かれる。その結果、不変の部分と変化の部分の対立および不変の部分の反復によって、声楽曲に変化を内包した統一の原理が与えられることとなる。

 歴史的にみれば、リフレインの概念は初期キリスト教音楽、なかでもアンティフォナ(交誦)やレスポンソリウム(応誦)までさかのぼることができるが、この形式がもっとも発展を遂げたのは中世の世俗曲においてである。とくに12~13世紀のフランスで流行した三つの形式、つまりトルーバドゥールやトルベールらの吟遊詩人によって作曲されたバラードロンドー、ビルレーでは、リフレインは重要な意味をもっている。

 なお器楽曲においては、ある楽曲のなかで規則的に繰り返される部分があれば、それをさしてリフレインの用語が用いられることがある。ウィーン古典派以降のロンド形式の楽曲に含まれる繰り返し部分は、そのもっとも顕著な例である。

[黒坂俊昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android