日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライム」の意味・わかりやすい解説
ライム
らいむ
lime
[学] Citrus aurantiifolia Swingle
ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑低木または小高木。高さ約2メートルで叢生(そうせい)する。枝条は繊細で多数あり、刺(とげ)がある。葉は小さく、小さな翼葉がある。花は小さく白色で単生または総生し、四季を通じて開花する。果実は縦径約4.5センチメートル、横径約4センチメートル、小さな乳頭突起がある。熟果は黄緑色、果皮は薄く剥皮(はくひ)は困難である。収穫は黄熟前の緑色のうちに行う。
肉質は柔軟多汁で、酸は強く香気があり、レモン同様に用いられる。デリケートな酸味は柑橘(かんきつ)類中随一である。紅茶、野菜、果物のサラダ、フライ、焼き肉、焼き魚などにとくにあい、またテキーラを飲みながら汁をすするのでも有名である。ライムオイル、クエン酸の原料にもなる。マレーからインドにかけて原産し、熱帯圏に広く伝わった。インド、スリランカ、地中海諸国、メキシコなどで栽培が多い。
いくつかの変種や近縁種が知られているが、トゲナシライムは、ライムの突然変異によってできたものである。変種のタヒチライムvar. latifolia Tanakaは果実、葉ともに大きい。近縁のスイートライムC. limettioides Tanakaはインド原産で酸味がなく甘い。
[飯塚宗夫 2020年10月16日]