モサラベ様式(読み)モサラベようしき(英語表記)Mozarabic style

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

モサラベ様式
モサラベようしき
Mozarabic style

スペインにおける中世キリスト教美術の一様式。イスラム統治下のスペイン(711以降)で,イスラム文化の影響を受けながら,独自の文化を形成したキリスト教徒モサラベ)の美術。建築のうえでは,9世紀頃からレオントレドを中心に馬蹄形アーチのようなサラセン的建築モチーフを使った聖堂が建てられ(エスカラダのサン・ミゲル聖堂,913頃),11世紀以降も特異なロマネスク建築の聖堂が建てられた。絵画では,各種の写本挿絵が 8世紀後半から描かれたが,特に 10世紀中頃,修道士マギウスの手になるベアトゥスの黙示録注解本挿絵(ニューヨーク,モルガン図書館)は,スペイン各地とフランスで多数の写本がつくられた(→ベアトゥス本)。北アフリカ,東ゴートの伝統に加えて,平面的構図法,大胆に原色を用いた色彩法には東方文化の強い影響がうかがわれる。工芸作品にも同様な特色がみられる。11世紀末以降,西ヨーロッパのキリスト教勢力によるスペインの「再征服」後,モサラベ様式は各地に広がり,ロマネスク様式形成の重要な一因となった。

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百科事典マイペディアの解説

モサラベ様式【モサラベようしき】

中世初期,イスラム統治下のスペインで行われたキリスト教美術。モサラベとはキリスト教徒でありながら文化的にイスラム化したスペイン人のこと。イスラム美術と伝統的スペイン美術の融合したものであるが,建築,写本絵画,金工品,象牙彫など全体に東方的装飾性が濃い。

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