ヨハネ伝福音書(読み)よはねでんふくいんしょ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

『新約聖書』のなかの福音書の一つ。マタイ、マルコ、ルカの三つの福音書(共観福音書)と比較すると、用語、文体、内容などの点で大きな相違があり、この福音書の編集にあたってなんらかの資料が利用されたとしても、それは、共観福音書の資料とはかなり異なった性格のものであったと思われる。ここでもイエスの現世での活動が描かれているが、叙述は全体としてグノーシス主義の影響を受けた独自の神学によって大幅に潤色されている。福音書記者をゼベダイの子ヨハネIoannesとする説は、後の伝承に由来し、史学的には支持されない。執筆の時期は共観福音書よりも遅く1世紀末ごろ、場所は小アジアあるいはシリアと考えられる。

[土屋 博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ノーブレスオブリージュ

《「ノブレスオブリージュ」とも》身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android